辺りを照らしていた灯りが一瞬にして消え、私達は闇に包まれる。
けれど…―。
(え…―)
目の前の光景に、私は思わず息を呑んだ。
(まるで宇宙にいるみたい……)
○○「すごい……!」
思わず立ち上がりそうになった瞬間今度はさまざまな映画のワンシーンが流れ始めた。
(あれ? これってどこかで見たような……)
テルさんの撮った映画や、この国を代表する古典作品などのワンシーンが次々に流れる。
それはまるで、壮大な映画史のようで……
○○「もしかして……」
―――――
テル『……ごめん。今はまだ教えられない。悪く思わないで欲しい。 でもこの国の歴史が一目でわかるものにしたいんだ。それも華やかで楽しいもの……』
―――――
(連日スタジオにこもってテルさんが作っていた映像作品って……)
その時…-。
○○「……っ」
隣に座っていたテルさんから、膝の上に置いていた手を握られた。
テル「もう気づいたかな?」
○○「テルさん……。 ……テルさんがずっと頑張っていたのって、これだったんですね」
テル「……そうだよ」
レンズの奥の瞳が柔らかに細められたかと思えば、彼はパークに映し出された映像をまぶしそうに眺める。
テル「結局ギリギリまで調整していたし時間も限定されるからパンフレットには掲載していないんだけど。 このパーク自体を、俺の作る作品のスクリーンにしてみたかったんだ……。 でも、半端なものじゃとても満足できない。だからこのパーク全体をスクリーンにした」
○○「パーク全体? 本当に、そんなことが……」
テル「ああ。 建物やアトラクションとか、そんな形ありきのものじゃなくて、人々の楽しむこの空間自体を…―」
そう語る彼の目の前に光のラインが映し出されたかと思うと、その光は勢いよく空へと飛んでいき……
○○「!!」
次の瞬間、大きな音と共に夜空に大輪の花が咲いた。
○○「綺麗……」
ため息を履いて、彼の手を私は握り返す。
男性「なんだ!? 今の」
女性「すごかったわね……!」
いつの間にか集まっていた人々からも、歓声が上がる。
そんな彼らを見て、テルさんは嬉しそうに微笑んだのだった…―。