第1話 弱々しい笑み

映画の国・ケナル 彩の月…―。

(すごい……)

映画の国の連合組合であるビオスコープが、一丸となって建てた新しいテーマパーク、その名も『ビートン・フィルムパーク』……

(こんな大きなものを、テルさん達が……?)

ビートン兄弟が総指揮を執って作り上げたテーマパークを見渡しながら、私は招待してくれたテルさんとの待ち合わせ場所を目指す。

すると……

(あっ。あそこにいるのは……)

テル「……」

○○「テルさん、お久しぶりです」

テル「え? ……ああ、来てくれたのか! 嬉しいよ」

久しぶりに顔を合わせたテルさんが柔らかな笑みを浮かべる。

けれど……

(テルさん、なんだか元気が……)

その瞳に疲れの色が浮かんでいる気がした私は、思い切って尋ねる。

○○「……やっぱり忙しいんですか?」

テル「いや、もう大丈夫だよ。プレオープンまであと少しだし。 長い間、力を注いできたからね。この国にいる間、君がこのパークを楽しんでくれたら嬉しいよ……」

そう言って、テルさんが再び目を細める。

けれどその笑みは弱々しく、私の心に小さな棘を残したのだった…―。

 

 

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