夜のテーマパークの光が、グレアム君の瞳の中で不安そうにチラチラと揺れる…―。
グレアム「アトラクションの安全確認をすること自体は問題ないが。 既に時刻は深夜。その上、今夜は月さえ見えないほど夜が深い……。 ということは、つまり」
グレアム君の綺麗な指先が、すっと自身の髪に触れる。
グレアム「今宵、また何か起きてもおかしくない状況であるということ」
○○「え……っ」
グレアム君の怖いほどに引きしめられた表情と、彼の言葉に背筋が寒くなる。
グレアム「……」
しばらくの間、沈黙があった後…―。
グレアム「い、いや、と言えども、現実の世界ではそうそう事件など起きないだろう。 うん、そうだ」
手をぐっと握りしめ、まるで自分に言い聞かせるようにグレアム君が言葉を発した。
(グレアム君?)
○○「……大丈夫ですか?」
グレアム「問題ない。今アトラクションの謎を考えた本人がここにいるんだ。 余裕……だね」
グレアム君は、どこか強がっているようも見える雰囲気でそう言う。
グレアム「さあ、出発しよう。俺の最高のミステリーを完成させるために」
上ずった声でそう言った後、グレアム君は決した様子で歩き出したのだった…―。
…
……
昼間も入ったアトラクション内部に、今度はきちんとスタート地点から進んでいく。
グレアム君原作のアトラクションは、謎を解きながら先へ進んでいくものだった。
グレアム「こういうのは、きちんと最初から謎を解いて進んでみた方がいい」
グレアム君の提案で、私達は実際に謎解きを行ってみることにした。
グレアム「まず、物語は一人の考古学者が洞窟の研究を開始したところからの始まりだ。 早速、一つ目の謎が隠されているようだね。わかる?」
グレアム君の指さす先を見て、文章や暗号を読み解くべく、考える。
○○「最初からけっこう難しいんですね」
その時だった。
○○「っ……!」
グレアム「うわっ……!」
恐竜の映像が目の前に現れて、二人で思わず手を握り合う。
○○「きょ。恐竜も出てくるんですか?」
グレアム「いや、これは……」
恐竜の映像を凝視するグレアム君の目は、驚愕に見開かれていた…―。