太陽7話 謎解き脱出ゲーム

アトラクションの改修が始まってから数日後…―。

グレアム君からの招待状を受け取り、私はまたビートン・フィルムパークを訪れていた。

(今度こそ無事に、オープンできたそうだけど)

グレアム「○○」

約束の時間に到着すると、グレアム君が入り口で待ってくれていた。

○○「グレアム君……! わざわざありがとうございます」

グレアム「い、いや、別に。招待したのは俺だからね」

○○「でも嬉しいです! もう一度グレアム君のアトラクションを体験できるなんて…―」

笑顔でお礼を言うと、グレアム君は頬を染めて目を背けてしまう。

(照れてるのかな?)

ふとそう思ったものの……

グレアム「とにかく、今度こそ……グレアム原作のアトラクションに行こう。 先日は事件のせいで楽しめなかったから、今日は再度挑戦だよ」

○○「あ……待ってください」

さっと身をひるがえしパーク内に入って行くグレアム君を、私も慌てて追いかけた…―。

……

グレアム君原作のアトラクションは、謎解きの脱出ゲームになっていた。

グレアム「脱出成功の際の贈り物は、俺が書き下ろした小冊子なんだ」

○○「そうなんですね。読めるといいな」

するとグレアム君は、自信たっぷりな笑みを浮かべて…―。

グレアム「必ず読めるよ。 これから挑戦するアトラクションは、自分で書いた小説の謎解き。 予習も展開も、脳内構造もすべて俺と一致するもの。よって、万全。 お前は必ず、俺の小冊子を読めるよ」

頼もしい姿にくすりと笑うと……

グレアム「どうして笑うんだよ。期待してて問題ないからな」

グレアム君が少し不機嫌そうに眉をしかめて、コーヒー色のキャンディーを口に放り込む。

かと思えば、私にも無言でキャンディーを差し出してきた。

グレアム「ん……行くよ」

○○「……! ありがとうございます」

小さなキャンディーを受け取ると、胸が不思議と弾み出す。

わくわくする気持ちのまま、私はアトラクションに足を踏み入れた。

けれど…―。

……

○○「!!」

突然降ってくる大きな蛇に驚かされたり……

飛び出す映像で猛獣が襲いかかってきたり……

予想以上に怖い演出に、終始驚いてばかりだった。

グレアム「これは……まさかテルが改修したのか? ……いや」

ぐっと拳を握りしめた後、グレアム君は何かを悟ったかのように深いため息を吐いた。

グレアム「また一段と恐ろしいアトラクションになってしまったみたいだね」

○○「すごい演出ですね……」

あまりの恐怖にグレアム君にしがみついてしまっていると、肩が抱き寄せられた。

○○「っ……」

見れば、グレアム君は照れくさそうにしながら唇を引き結んでいる。

○○「あ、あの……ありがとう。グレアム君」

グレアム「……別に。 ほら、次の謎に進むよ。またヒントをあげるから」

(助けてもらってばかり……頼もしいな)

その後もグレアム君に謎解きを手伝ってもらったり、怖い時には寄り添ってもらいながら先へと進む。

けれど…―。

(あれ……?)

いつの間にか、私の前を歩いてくれていたグレアム君の姿がない。

(もしかして……はぐれちゃった!?)

薄暗い洞窟の中、たちまち胸に不安が広がっていった…―。

 

 

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