グレアム君と二人、洞窟の中で早速事件の調査を行う。
グレアム「さぁ、この手袋をつけて。この場所のどこかに、事件の痕跡がないか調べてくれ」
○○「はい、わかりました」
手袋を受け取りながら返事をすると、グレアム君は真剣な表情で深く頷いた。
グレアム「よし。では早速、念入りに調査だ」
○○「はい……!」
(頼もしいな)
手際よく現場を調べ始める彼にならい、私も調査を開始した…―。
けれど…―。
…
……
○○「何もないですね……」
グレアム「何かキーになるものがこの辺りで隠されていると、話のテンポがいいんだが……。 とりあえず、これまでにわかっていることをまとめてみよう」
○○「はい」
二人で、岩場に腰を下ろし、これまでの状況整理をする。
グレアム「まず、アトラクションの中で忽然と姿を消したのは、男性スタッフだ。 時間は夜。スタッフ数人で作業途中、最後尾にいた男が突如、消え去った。 すぐさまアトラクション内部を捜したが男の姿はどこにもない」
○○「その時には、なんの作業をしていたんですか?」
グレアム「ギミックの調整を行っていたそうだ」
○○「ギミック?」
グレアム「ああ、ライトの演出だね」
○○「じゃあそのギミックに何かあったとか……」
グレアム「いや、異常がなかったことは確認済みだ」
グレアム君は指先で髪をいじりながら、改めてアトラクションの洞窟内を見渡す。
グレアム「ふむ……これはいよいよ不可解な事件になってきたね。 今まで書いたミステリーが参考になるはずだ。 今一度、整理してみればきっと突破口が……」
そうつぶやいたグレアム君はペンを手に取るや否や、設計図に何か書き込み、ぐるりと回して確かめたりしながら夢中で考え始めた。
(グレアム君、さすがミステリー作家だな)
(こういう謎解きにはすごく夢中になっちゃうんだ)
(頑張ってるんだから、今は邪魔しない方がいいよね)
グレアム「この設計は難解だ。ここがこうなら……」
真剣に設計書と向き合い悩むグレアム君から少し離れて、周辺を散策していると……
ふと、ギミックの横の壁に、一部色の違う部分があるのを発見した。
(これ……何かな?)
不思議に思い、指先で触れた瞬間……
○○「え……!?」
突如、ぐるりと視界が暗転した…―。