ミヤの様子が気になり、私は彼の控え室へと向かった。
…
……
ミヤ「うわあ、すごい人だね。緊張しちゃうな」
窓から闘技場の様子を見ながら、ミヤは楽しそうに笑っている。
(ミヤ、緊張はしてないみたい……よかった)
ミヤ「イリアはどんな魔術を披露するんだろうね」
○○「ミヤは知らないの?」
ミヤ「うん。イリアだって、オレがどんな魔術を使うか知らないしね。 イリアのことだから、きっと、皆が驚くような難しい技を披露するんだろうな」
ミヤの表情に、暗い影は差していない。
心からイリアさんの魔術を楽しみにしているようだった。
ミヤ「後、ルーガに成功した魔術を見せられるといいな……」
視線を遠くに向けながら、ミヤがぽつりとつぶやく。
(ミヤ……)
私は、彼の言葉を思い出す…―。
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ミヤ「あのさ、○○ちゃん……頑張ってって、言ってくれるかな? ○○ちゃんが応援してくれると、もっと頑張れる気がするんだ」
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(私の応援が、ミヤの役に立つなら……)
○○「ミヤなら、きっと大丈夫だよ。あんなに一生懸命練習していたし……。 私、ミヤの魔術を楽しみにしてるね」
ミヤ「……○○ちゃん」
少しだけ驚いたように私の名前をつぶやいた後、ミヤが再び口を開く。
ミヤ「そうだね。今日は格好いいオレを見せられるかな。 ○○ちゃんには、いつも情けないところばっかり見せちゃってるし……。 ほら、オレはイリアみたいに格好よくできないからさ」
○○「そんなことない……!」
自嘲するようなミヤに、とっさに言葉が出ていた。
○○「ミヤは、格好いいよ」
ミヤ「! ……うん、ありがとう」
ミヤは照れくさそうにしながらも、喜びを隠しきれない様子で微笑む。
ミヤ「ありがとう。オレ、頑張るね!」
ミヤの瞳の奥に、強い光が宿る。
彼が魔術を披露する時間は、間近に迫っていた…―。