ついに魔術の祭典当日になった…―。
イリア「○○様、こちらへ。一緒に来てください」
イリアさんに手を引かれ、私は魔術を披露する舞台が見えやすい場所へと移動する。
イリア「ここからなら、他の誰もいませんし、よく見えますね」
彼に引き寄せられ、肩と肩が触れる。
(なんでだろう……ドキドキする)
胸の鼓動を静めながら、私はイリアさんと一緒に舞台を見つめた。
すると数名が魔術を披露した後、ミヤさんが舞台に上がり……
(わっ……すごい……)
空にいくつもの花火が舞い踊る。
けれど……
イリア「ミヤ? 少し様子が……」
花火は空で大きな爆発に変わり、観客から驚いたような声が上がった。
(これも……演出?)
舞台を見ると、ミヤさんが歯を食いしばっている。
その時…―。
イリア「ミヤ!」
○○「え……?」
イリア「……」
身を乗り出したイリアさんが何かを唱えると、空に水しぶきが上がった。
○○「っ……!」
水しぶきによって爆発は抑えられ、7色の花火が水と遊ぶように跳ねては消えていく。
その美しい光景に、観客から拍手が沸き上がった。
○○「すごい、綺麗ですね……!」
私がミヤさんに拍手を送りながら、イリアさんの方を振り向く。
けれど…―。
イリア「私は……なんてことを……」
彼は瞳を閉じ、手をきつく握りしめていた…―。