魔術の祭典当日…-。
ついに、イリアさんが闘技場に出る順番を迎える。
〇〇「イリアさん……」
少しでもイリアさんの力になりたくて、彼を呼び止める。
すると、彼は振り返りそっと私を抱き寄せた。
〇〇「っ……!」
イリア「少しだけ力をわけていただけますか?」
〇〇「はい……」
イリアさんの背中にそっと手を回す。
イリア「少しだけ不安だったんです。上手くいくかどうか。ですが、もう大丈夫。 行ってきます。見ていてくださいね。きっと成功してみせますから」
(イリアさん……)
私から離れると、イリアさんは舞台上へと向かっていく。
彼の登場に、ひときわ大きな歓声が上がった。
(イリアさん……!)
瞳を閉じると、イリアさんは何かを唱え始める。
イリア「……」
青い粒子が光り輝き、イリアさんの体を包み込んだ。
イリアさんが手を上げると、その光は大きな塊となって空に昇っていく。
(すごい……!)
水は馬の形になり空を駆け巡ったかと思うと、今度は鳥の形に変わる。
祝福するように空を飛び回ると、鳥は水しぶきとなり消えていった…-。