太陽7話 勇気さえあれば

薄暗い城の回廊は、どこか物悲しい雰囲気を漂わせていた…―。

その中で、姿を消したレオニーをようやく見つけて、私は彼に駆け寄った。

○○「レオニー、大丈夫……?いきなりいなくなるから心配したんだよ」

けれどレオニーはすっかり萎縮してしまったのか、何かをぶつぶつと繰り返すばかりで、その場で小さくなっている。

レオニー「……勇気さえ……うぅ……勇気さえあれば……」

○○「レオニー……」

レオニー「……」

○○「ねえ、レオニー!」

レオニー「……え?」

大きな声で名を呼んで肩を叩けば、彼はようやく顔を上げた。

その顔は、何かに怯える小動物のように恐怖に歪んでいる。

レオニー「な、なんだよ……臆病者だって、オレを笑いに来たのか?」

○○「違うよ、でも……今のままじゃ、レオニーは勇気があっても変われないんじゃ……」

レオニー「な、なんでだよ!そんなわけない、失くした勇気さえ取り戻せば、オレだって……!」

悔しそうに唇を噛み、レオニーが目を細める。

レオニー「それとも、オレには勇気を取り戻すのは無理だって言いたいのか?」

○○「そうじゃなくて……勇気は人からもらうものじゃないと思うから」

レオニー「……でも、オズワルドは…―」

戸惑うような声を出し、彼はまた身体を小さくする。

○○「うん……昔、あなたが何をもらったのかは、わからないけれど……」

(どうしたら、レオニーに伝わるんだろう?)

胸元を押さえて、形にならない思いから慎重に言葉を選ぶ。

○○「確かにレオニーは何かをもらったのかもしれないけど、でも、勇気っていうのは…―」

その時だった。

レオニー「!?」

レオニーは何かを察知して、鋭い目を中庭の方に向けた。

○○「どうしたの……?」

レオニー「何か……いる!」

○○「え!?またさっきの…―」

恐怖に足が竦み、後ずさりする。

しかし背中にあるのは、冷たい大理石の壁で、今度こそ逃げ場はない。

(どうしよう……!)

おろおろとその場を見渡す。

レオニーは、ただ恐怖に足を震わせながら、庭に続く暗がりを見ている。

その時…―。

人形兵「……っ!!」

先ほどの人形兵が列を成して、奇妙な動きで庭から顔を出した。

壊れた機械のように不気味な音を響かせて、私たちに近づいてくる。

その中の一体の手が、暗がりの中で大きく振り上げられる。

○○「……!レオニー逃げて!」

レオニー「○○っ!?」

私達の叫び声が、夜の城に高く響いたのだった…―。

 

 

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