太陽7話 不穏な唸り声

色とりどりの卵を受け取って喜ぶ人々を確認した後……

〇〇「レオニー、私達もせっかくだから街を回ってみない? 皆が喜んでいるところ、もっと見てみたいし」

レオニー「うん、オレも見たい。それにアンタには手伝ってもらってばっかりだったし……。 最後くらいちゃんとオレのシンヴァ領を……その、案内したいから」

〇〇「……ありがとう」

赤くなったレオニーに差し出された手を取って、街一番の大通りに繰り出す。

感謝祭のために飾られた街はどこへ行っても賑わっていた。

人々はそんな華やかな祭りをそれぞれに楽しんでいる。

レオニー「そういやあそこの飾りつけは、アンタがやってくれたんだよな」

街の中央にある建物を飾る青い卵を見てレオニーが言う。

〇〇「レオニーが支えてくれたから、ちゃんと飾れたんだよ」

レオニー「いや、そんなこと……」

ヒヨコ「……ぴぴっ」

レオニー「オマエは黙ってろってば!」

赤くなったレオニーを笑うように、懐に入っていたヒヨコが鳴く。

その様子が微笑ましくてつい笑ってしまったその時、レオニーのお腹からおかしな音が響いた。

レオニー「……!」

〇〇「今の……お腹空いてるの?」

レオニー「別に。皆が喜んでくれるか心配で、朝飯食べられなかったとかそういうのじゃねえからな……!」

〇〇「……そうだったんだね」

レオニー「だ、だから違うって! ただ、その……オレだってこんな小心者だったり男らしくないの嫌だけど、でも仕方ないから……。 ~~~~っ!」

彼は恥ずかしそうに頭を掻くと、懐からヒヨコを出して私の手に乗せた。

レオニー「ちょっと何か食べ物買ってくるから、コイツ見といてっ!!」

〇〇「っ……うん」

その場から駆け出すレオニーの顔はよく見ると耳まで真っ赤だった。

〇〇「照れてたのかな? ねえ、あなたはどう思う?」

ヒヨコ「ぴぃ……」

問いかけてもヒヨコは不思議そうに首を傾げている。

(小心者だなんて……)

〇〇「レオニーは……素敵なのにね」

ヒヨコ「ぴぴ!」

(あ……)

思わず言ってしまったことに、一人で頬を熱くしてしまっていると……

ヒヨコ「ぴぴぴぴ! ぴー!」

〇〇「どうしたの!?」

いきなり、手のひらの上にいたヒヨコが騒がしく鳴き始めた。

間髪入れずに獣のような唸り声がして、振り向くと…-。

〇〇「……っ!!」

(何……野犬!?)

機械音のような唸り声をあげる、大きな犬がこちらを睨みつけていた。

(どうしてこんなところに……)

今にも飛びかからんばかりに興奮している犬との距離が、だんだんと近づいて……

(どうしよう……! レオニーからこの子を守るように言われたのに)

私は手の中で小さく震えるヒヨコを守るように胸の前で抱いた。

その時…-。

レオニー「〇〇!!」

〇〇「レオニー!? ……助けて!」

手に紙袋を持ったレオニーの姿を見て、私は無意識のうちに叫んでいた…-。

 

 

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