色とりどりの卵を受け取って喜ぶ人々を確認した後……
〇〇「レオニー、私達もせっかくだから街を回ってみない? 皆が喜んでいるところ、もっと見てみたいし」
レオニー「うん、オレも見たい。それにアンタには手伝ってもらってばっかりだったし……。 最後くらいちゃんとオレのシンヴァ領を……その、案内したいから」
〇〇「……ありがとう」
赤くなったレオニーに差し出された手を取って、街一番の大通りに繰り出す。
感謝祭のために飾られた街はどこへ行っても賑わっていた。
人々はそんな華やかな祭りをそれぞれに楽しんでいる。
レオニー「そういやあそこの飾りつけは、アンタがやってくれたんだよな」
街の中央にある建物を飾る青い卵を見てレオニーが言う。
〇〇「レオニーが支えてくれたから、ちゃんと飾れたんだよ」
レオニー「いや、そんなこと……」
ヒヨコ「……ぴぴっ」
レオニー「オマエは黙ってろってば!」
赤くなったレオニーを笑うように、懐に入っていたヒヨコが鳴く。
その様子が微笑ましくてつい笑ってしまったその時、レオニーのお腹からおかしな音が響いた。
レオニー「……!」
〇〇「今の……お腹空いてるの?」
レオニー「別に。皆が喜んでくれるか心配で、朝飯食べられなかったとかそういうのじゃねえからな……!」
〇〇「……そうだったんだね」
レオニー「だ、だから違うって! ただ、その……オレだってこんな小心者だったり男らしくないの嫌だけど、でも仕方ないから……。 ~~~~っ!」
彼は恥ずかしそうに頭を掻くと、懐からヒヨコを出して私の手に乗せた。
レオニー「ちょっと何か食べ物買ってくるから、コイツ見といてっ!!」
〇〇「っ……うん」
その場から駆け出すレオニーの顔はよく見ると耳まで真っ赤だった。
〇〇「照れてたのかな? ねえ、あなたはどう思う?」
ヒヨコ「ぴぃ……」
問いかけてもヒヨコは不思議そうに首を傾げている。
(小心者だなんて……)
〇〇「レオニーは……素敵なのにね」
ヒヨコ「ぴぴ!」
(あ……)
思わず言ってしまったことに、一人で頬を熱くしてしまっていると……
ヒヨコ「ぴぴぴぴ! ぴー!」
〇〇「どうしたの!?」
いきなり、手のひらの上にいたヒヨコが騒がしく鳴き始めた。
間髪入れずに獣のような唸り声がして、振り向くと…-。
〇〇「……っ!!」
(何……野犬!?)
機械音のような唸り声をあげる、大きな犬がこちらを睨みつけていた。
(どうしてこんなところに……)
今にも飛びかからんばかりに興奮している犬との距離が、だんだんと近づいて……
(どうしよう……! レオニーからこの子を守るように言われたのに)
私は手の中で小さく震えるヒヨコを守るように胸の前で抱いた。
その時…-。
レオニー「〇〇!!」
〇〇「レオニー!? ……助けて!」
手に紙袋を持ったレオニーの姿を見て、私は無意識のうちに叫んでいた…-。