虹の国・オズ シンヴァ領 陽の月…-。
澄み渡った空の下、穏やかな風が丘を吹き抜けていく。
虹の国・オズは、『オズの魔法使い』と称されるオズワルド王子と、彼によって任命された複数の王子達が、それぞれの領を治めている。
(レオニー、元気かな)
これから始まる未来に思いを馳せるというお祭り、通称『感謝祭』に招待され私はこの国の王子の一人である、レオニーを訪ねていた。
(お城はこの丘を抜けた辺りのはずだけど……)
その時、見覚えのある顔が道の前方から荷車を兵に引かせて近づいてきた。
○○「レオニー!」
レオニー「わあああっ!!」
声をかけると、レオニーは荷車から転げ落ちそうなくらいの勢いで驚いた。
レオニー「あ、アンタか……びっくりさせんなよな!」
(相変わらず、ものすごく怖がり……)
○○「ご、ごめん……でもどうしたの?その両手いっぱいの卵」
見れば彼は、卵が山と盛られた籠を手にしている。
レオニー「ああ、後ろの荷車も全部同じ卵だぞ。 なんでも感謝祭のために虹の国中を飾るとかで、オズワルドから頼まれたんだ。 ほら、山ほどあるだろ?これから広いところに行って色を塗るんだ」
そう言ってレオニーが、私に卵を一個渡してくれる。
○○「楽しそう。でもこれ普通の卵よりもなんだか重いような……」
レオニー「さあ……機会なのかな、仕掛けがあるとかで中は普通の卵じゃないらしいんだ。 けどオレ、色を塗れって言われても絵のセンスとかないし……」
レオニーは荷車に詰まれた卵を見てうな垂れる。
○○「よかったら私も手伝うよ。こんなにいっぱいあったら大変でしょう?」
レオニー「いいのか!?」
ぱっと明るい笑顔に戻って彼が顔を上げる。
その満面の笑顔が、私の心も明るく照らしてくれるようだった…-。