オズワルド「○○は、もっと僕のことを信用してほしいなあ」
オズワルドさんの楽しそうな声が、大広間に響く…―。
○○「でも、卵だったら割れてしまうんじゃ……」
オズワルド「その卵ね。これだよ、これ」
懐から取り出したものは、色鮮やかに模様のついた卵だった。
○○「感謝祭用の卵ですか?」
オズワルド「その通り! しかも、ただ卵に色を塗ったわけではないよ。この光線銃で撃ってみてごらん!」
○○「え…―」
『光線銃』と呼ばれた……おもちゃの銃のようなものが手渡される。
○○「あ、あの」
戸惑う私には構わず、オズワルドさんは手のひらに鮮やかな卵を乗せ、私から少し距離を取った。
オズワルド「はい、どうぞ!」
(どうぞって……)
○○「卵を撃てばいいんですか?」
オズワルド「うん、どうぞどうぞ」
含みのある顔で、オズワルドさんは私を挑発するように見ている。
(おもちゃの銃だよね? 撃って平気かな……)
オズワルド「だ~か~ら! もっと僕を信用してって!」
なおも迷っていると、卵を持ったオズワルドさんが急かすように声を上げた。
(……よし)
思い切って引き金を引くと……
○○「っ……!」
電子音と共にまばゆい光線が飛び出して、オズワルドさんの手の上の卵に命中した。
その瞬間…―。
○○「え…―」
卵が派手にぱかっと割れたかと思うと、そのまますうっと消えていった。
○○「た、卵が割れて消えて……」
オズワルド「うん! その通りさ」
目の前で起こったことが信じられず、私はただ瞳を瞬かせることしかできない。
オズワルド「これで子ども達は、次々飛び出してくる卵を光線銃で撃って遊べるってわけ。それに、機械仕掛けの消滅卵だから、街は美しいまんま」
○○「すごい……魔法みたい」
その一言を聞いて、オズワルドさんはむっと顔をしかめた。
オズワルド「魔法じゃないって。技術よ、ギジュツ」
街の子ども達が楽しそうに遊ぶ様子が、自然と目に浮かぶ。
オズワルド「あっ、後、安全面も問題なし。もし地面に落ちそうになったり、人に当たりそうになった時も大丈夫。柔らか素材だから」
○○「本当に……当日が楽しみですね!」
オズワルドさんが、くつくつと喉の奥で笑う。
かと思ったら、ぽんと新しい卵を宙へ放り投げ……光線銃で撃ち抜いた。
○○「わぁ……光線銃の光って、少し離れて見るとなんだか綺麗ですね」
オズワルド「それももちろん、計算ずくさ」
自信たっぷりに眼鏡を押し上げながら言う彼の様子に、むねがどきどきと期待の音を鳴らし始める。
(皆がオズワルドさんを慕って、頼りにする理由がわかる。だってこんなに素敵なわくわくをくれるんだから)
オズワルド「さて、本番に向けて最終調整といこうかねぇ」
私から離れ、歩き出そうとするオズワルドさんに……
○○「私にも、お手伝いさせてください!」
魔法にかけられたように、そう声をかけずにはいられなかった…―。