太陽の光が、きらきらと草花を彩っている。
目覚めたジークさんに手を引かれるまま、私は城へとやってきていた。
城の人達は皆、ジークさんの帰還に驚き、喜びに溢れていた。
(ジークさん……)
―――――
ジーク『あなたこそが、運命の人……! どうか、私にあなたへの忠誠を誓わせてください。ダイヤモンドの乙女よ』
―――――
(忠誠って? それに、ダイヤモンドの乙女って?)
頭の中がそのことでいっぱいになり、私は一人空を仰いだ。
ジーク「どうかなさいましたか?」
〇〇「い、いえ」
ジーク「お顔の色が宜しくないようですね……ハーブティーでもご用意致しましょう」
〇〇「あ……ありがとうございます」
ジークさんは、丁寧にお辞儀をしてくれる。
艶やかな黒髪が流れるように頬を滑り落ちた。
(一つ一つの仕草が、とても綺麗な人)
思わず見惚れてしまっていた私に、ジークさんは優雅に微笑んだ。
ジーク「さあどうぞ」
風のよく通る部屋へ案内されると、私は引かれた椅子に腰をおろす。
注がれたハーブティーを手に、美しい庭を見渡した。
すると……
ジーク「先日のお返事、考えていただけたでしょうか?」
ジークさんが私の前でかしずき、柔らかな表情で見上げている。
―――――
ジーク『どうか、私にあなたへの忠誠を誓わせてください。ダイヤモンドの乙女よ』
―――――
(あの返事のこと?)
突然の申し出を思い出し、頬が熱くなる。
〇〇「あの、忠誠っていったい……?」
ジーク「……いつでもあなたの傍にいて、あなたをお守りする許しが欲しいのです」
ジークさんの柔らかく静かな瞳が、問い返すように私を見つめる。
〇〇「ごめんなさい。でも、突然でよくわからなくて」
ジーク「いえ……こちらこそ、急な申し出で困らせてしまいましたね」
真っ直ぐに見つめるジークさんの瞳は、息を飲むほど綺麗だった。
〇〇「でも、どうして私なんですか?」
ジーク「どうして……とは? また、変なことを仰る。 その美しい瞳、優しい表情……これほど魅力的な方を私は他に知らない。 目覚めて一目見た瞬間、私はあなたに心を奪われたのですよ」
こんな言葉を言われる日が来るなんて、思ってもいなかった。
けれどその言葉に、嘘偽りはかけらも感じなくて…―。
〇〇「ジークさん……」
真摯に紡がれる言葉に、自分でもわかるほどに顔が赤くなってくる。
ジーク「私は信じております、これが運命であると……」
ジークさんの言葉が、まるで美しい音楽のように私の胸に響き渡っていった。