月9話 荒れ果てた街

暴走をし、街を破壊し続ける大案山子一号とリーヤさんが対峙する。

〇〇「リーヤさん、危ないです……!」

リーヤ「だから俺の後ろに隠れろっつってるだろ! 案山子の中の方が、今は危ねー!」

耳を塞ぎたくなるような破壊音に負けじと、リーヤさんが声を張る。

リーヤ「なんとかしてみせる! オズワルドの魔法はイカサマだけど、俺の魔法は本物だからな……!」

私を振り返り、得意げにニッと笑った顔は……

清々しく、とても精悍な顔つきだった。

(リーヤさん……)

その後リーヤさんは、ものすごい速さで地面に魔方陣を描くと……

初めて出会った時のように、不思議な言葉を並べ始めた。

その間にも、案山子は街の破壊を続け、魔方陣も踏まれてしまう、そう思った時…-。

リーヤ「出でよ! 風の聖霊っ!!」

〇〇「……!」

突風が巻き起こり、切り裂くような風が案山子を攻撃する。

がくんがくん、と案山子は身を揺らし……

(止まった……?)

けれど…―。

リーヤ「まだか……!」

リーヤさんが、今度は宙に魔方陣を描き始める。

けれどそれより先に、案山子の巨大な腕が薙ぎ……

リーヤ「うああああっ……!!」

〇〇「リーヤさん!」

リーヤ「来るな……っ!」

攻撃を受け、ぼろぼろになったリーヤさんが、肩で大きく息をしながら苦しそうに立ち上がる。

それからすぐにまた、宙に何かを描いた。

リーヤ「破……っ!!」

短い声と共に、鋭い紙の刃が現れ、案山子に向う。

案山子はそれを真っ向から受け止め……けれども、まだ倒れたりはしなかった。

リーヤ「ッ……まだまだだ……!」

それでも、リーヤさんは案山子に立ち向かっていった…-。

その後…-。

案山子とリーヤさんは、ぼろぼろになるまで戦い続け……

もう駄目かと思われた頃、やっと、案山子は動きを止めたのだった…-。

〇〇「リーヤさん! 止まりましたよ!!」

満身創痍の彼に駆け寄って、私は喜びの声を上げたけれど……

リーヤ「ああ……」

荒れ果てた街を見回して、リーヤさんはがっくりとうなだれた。

リーヤ「俺のせいで……街をこんなにしちまったな」

(リーヤさん……)

彼を支えながら、私は動きを止めた案山子……城の中へと戻ったのだった…-。

……

それからリーヤさんは、もう何日も城に引きこもってしまっている。

リーヤ「……」

動くこともなくなった案山子の中で、リーヤさんはひどく落ち込んでいた。

(リーヤさんに……元気を出して欲しい)

私はある日、思い立って街へと向かった…-。

 

 

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