暴走をし、街を破壊し続ける大案山子一号とリーヤさんが対峙する。
〇〇「リーヤさん、危ないです……!」
リーヤ「だから俺の後ろに隠れろっつってるだろ! 案山子の中の方が、今は危ねー!」
耳を塞ぎたくなるような破壊音に負けじと、リーヤさんが声を張る。
リーヤ「なんとかしてみせる! オズワルドの魔法はイカサマだけど、俺の魔法は本物だからな……!」
私を振り返り、得意げにニッと笑った顔は……
清々しく、とても精悍な顔つきだった。
(リーヤさん……)
その後リーヤさんは、ものすごい速さで地面に魔方陣を描くと……
初めて出会った時のように、不思議な言葉を並べ始めた。
その間にも、案山子は街の破壊を続け、魔方陣も踏まれてしまう、そう思った時…-。
リーヤ「出でよ! 風の聖霊っ!!」
〇〇「……!」
突風が巻き起こり、切り裂くような風が案山子を攻撃する。
がくんがくん、と案山子は身を揺らし……
(止まった……?)
けれど…―。
リーヤ「まだか……!」
リーヤさんが、今度は宙に魔方陣を描き始める。
けれどそれより先に、案山子の巨大な腕が薙ぎ……
リーヤ「うああああっ……!!」
〇〇「リーヤさん!」
リーヤ「来るな……っ!」
攻撃を受け、ぼろぼろになったリーヤさんが、肩で大きく息をしながら苦しそうに立ち上がる。
それからすぐにまた、宙に何かを描いた。
リーヤ「破……っ!!」
短い声と共に、鋭い紙の刃が現れ、案山子に向う。
案山子はそれを真っ向から受け止め……けれども、まだ倒れたりはしなかった。
リーヤ「ッ……まだまだだ……!」
それでも、リーヤさんは案山子に立ち向かっていった…-。
その後…-。
案山子とリーヤさんは、ぼろぼろになるまで戦い続け……
もう駄目かと思われた頃、やっと、案山子は動きを止めたのだった…-。
〇〇「リーヤさん! 止まりましたよ!!」
満身創痍の彼に駆け寄って、私は喜びの声を上げたけれど……
リーヤ「ああ……」
荒れ果てた街を見回して、リーヤさんはがっくりとうなだれた。
リーヤ「俺のせいで……街をこんなにしちまったな」
(リーヤさん……)
彼を支えながら、私は動きを止めた案山子……城の中へと戻ったのだった…-。
…
……
それからリーヤさんは、もう何日も城に引きこもってしまっている。
リーヤ「……」
動くこともなくなった案山子の中で、リーヤさんはひどく落ち込んでいた。
(リーヤさんに……元気を出して欲しい)
私はある日、思い立って街へと向かった…-。