どこまでも広がる、のどかで広大な田園風景……
旅の途中でふと、太陽の光に反射する煌めきを見つけた。
〇〇「あ、駄目……!」
カラスに弄ばれるその煌めきに、慌てて駆け寄ると、バサバサとカラス達は飛び立った。
けれど…―。
(遠くから、こっちを見てるみたい。そんなに気になるものなのかな?)
見れば、輝きの正体は指輪だった。
(これは……!)
慌てて両手を組んで祈ると、指輪は強い光を発し……
??「ん……あー……くそ、頭いてぇ!」
現れたすらりと背の高い青年は、顔をしかめてつぶやく。
特徴的な藁作りのような帽子を、被り直しつつ上を見上げると……
突然怒りをあらわにして、勢いよく飛び起きた。
??「あいつら……俺が動けなかったのをいいことに……! 許せねえっ!」
あざ笑うかのように鳴くカラス達にそう叫んだかと思うと、彼はすぐさま不思議な書物を取り出した。
(な、何……?)
勢いよくページをめくり、ぴたりと指を止めたかと思うと、何やら静かにつぶやき始める。
不思議に思い、声をかけようとした矢先…―。
??「立ち去りやがれ!!」
〇〇「っ……!」
叫び声と共に、彼の持っていた書物から竜巻のような強風が吹き荒れた。
カラス達が、発生した不思議な竜巻に巻き取られ、吹き飛ばされていく。
??「……ったく、油断も隙もあったもんじゃねえ。 ……で、お前は?」
安堵とも怒りとも取れるため息を吐くと、本をぱたりと閉じながら青年がやっとこちらを見る。
初めて私を捉えたその瞳は、美しく聡明な輝きを宿しているようだった。
〇〇「あ、私は…―」
怪訝そうな表情を浮かべる彼に、私は自分のことを説明した。
??「ふーん……」
金色の瞳が、興味深そうに私を見つめている。
??「そか。じゃ、礼をする」
大きな藁の帽子を深く被り直すと、彼はくるりと背を向ける。
??「……こんなとこじゃなんだな」
〇〇「え……?」
??「俺の領地でもてなす。お前は、恩人だからな」
戸惑う私には構わず、さっさと歩き出してしまう。
〇〇「あの!」
??「なんだよ」
顔だけ私の方に振り返らせて、仏頂面で彼が言う。
〇〇「あなたの名前は……」
??「……」
コホンと咳払いをして、彼は私に向き直る。
リーヤ「あー……リーヤだ」
その顔が、心なしか赤く染まっている気がした…―。