陽影さんと紙の花を作ってから数日後、ついに、子ども達が陽影さんの元から巣立つ日が訪れ…―。
男の子1「陽影せんせい、〇〇せんせい、ありがとう! ぼく、今日のことぜったい忘れないよ!」
男の子2「うっ……ぐすっ……卒業なんてやだよ……」
女の子1「こら、泣かないの!」
女の子2「そうだよ。泣いたらせんせい達がこまっちゃうでしょ?」
陽影「オマエら……」
(紙だけど……満開の桜の下で皆を送り出せてよかった)
陽影「オマエのおかげで、いい日になったな」
紙の花で飾られた木を見上げていた私に、陽影さんが後ろから声をかけてくる。
〇〇「そんなこと……」
振り向こうとする動きを止めるように、彼は私の頭に大きな手を乗せ……
その温かさと重みに、私の胸がわずかに音を立てた。
陽影「褒められとけ。本当にオマエには感謝してるんだ」
私の頭の上から、手が離れる。
振り向くと、陽影さんがどこかへと歩いていくのが見えた…-。