月5話 別れの寂しさ

陽影さんと紙の花を作ってから数日後、ついに、子ども達が陽影さんの元から巣立つ日が訪れ…―。

男の子1「陽影せんせい、〇〇せんせい、ありがとう! ぼく、今日のことぜったい忘れないよ!」

男の子2「うっ……ぐすっ……卒業なんてやだよ……」

女の子1「こら、泣かないの!」

女の子2「そうだよ。泣いたらせんせい達がこまっちゃうでしょ?」

陽影「オマエら……」

(紙だけど……満開の桜の下で皆を送り出せてよかった)

陽影「オマエのおかげで、いい日になったな」

紙の花で飾られた木を見上げていた私に、陽影さんが後ろから声をかけてくる。

〇〇「そんなこと……」

振り向こうとする動きを止めるように、彼は私の頭に大きな手を乗せ……

その温かさと重みに、私の胸がわずかに音を立てた。

陽影「褒められとけ。本当にオマエには感謝してるんだ」

私の頭の上から、手が離れる。

振り向くと、陽影さんがどこかへと歩いていくのが見えた…-。

 

 

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