記録の国・レコルド 凪の月…―。
賑やかなプリンスアワードは、たくさんの人達の笑顔に包まれて幕を閉じ……
アフターパーティを楽しんで会場を出た頃には、辺りはすっかり暗くなっていた。
(えっと、招待状に書かれていたホテルはここかな……?)
立派なホテルのロビーに入り、思わず大きく息を吐く。
豪奢な調度品が並ぶ、記録の国随一の格式高いホテルに圧倒されてしまう。
(ゆっくり休んでください、って招待していただいたけど、本当に素敵なホテル……)
思ったよりも到着が遅くなってしまい、手早くチェックインを済ませると…―。
??「あれ、○○ちゃん?」
後ろから落ち着いた声が聞こえて、足を止め振り返る。
○○「……、ジェイさん!」
ひらりと手を振りながら、優雅な足取りでジェイさんが近づいてくる。
ジェイ「○○ちゃんも招待を受けてたんだね」
ジェイさんは、聖職者の国・ノープリーの王子様……
以前会った時と変わらない、屈託のない彼の表情に、ほっと安堵してしまう。
○○「ジェイさんも、こちらにいらしてたんですね」
ジェイ「ああ。俺も同じ招待状を受け取ってね」
私を優しく見守ってくれるような微笑みは、自然と胸の奥を温かくしてくれた。
(ジェイさんの笑顔って、なんだか安心する……)
微かに鳴る鼓動を感じながら、柔らかな絨毯を踏みしめ、ジェイさんの方へ歩みを進めた…―。