そして、プリンスアワードの式典当日…―。
パーティ会場は、すでに大勢の人達で賑わっていた。
煌びやかなドレスを着た人々が笑顔を交わし合っている。
(わぁ……豪華なパーティ会場)
その光景に見とれていると背後から声がした。
キース「おい」
振り向くと、キースさんが私を見つめていた。
○○「キースさん」
キース「そろそろ、あいつらの合唱が始まる」
(あいつら……って)
人混みの隙間から、ステージに上がろうとしている少年達の姿が目に入る。
―――――
少年1「鬼先生、今日はどうもありがとうございました!」
少年2「鬼先生、また指揮してね!」
キース「なんだその呼び方は」
―――――
少年達に視線を送るキースさんを見て、笑みが漏れる。
○○「楽しみですね」
キース「俺の指導をきちんと守っているか、確認しないとな」
指揮者がパーティの招待客に挨拶をし、会場が静まり返る。
その時、ステージ上の少年がキースさんに気づき大きく手を振った。
キース「あいつ……」
眉根を寄せながらも呆れたように笑うキースさんに、私の口元も緩む。
○○「キースさん、子ども達にも好かれてすごいです。 それに、なんでもできて……本当に尊敬します」
キースさんは何も答えず、私をじっと見つめていた。
指揮棒が空を切り、少年達の高らかな歌声が響き渡った…―。