翌日…ー。
少し風が強い昼下がり、私とジークさんは練習用の木剣を手に向かい合っていた。
(ジークさんの隙をついて前に……)
兵士さんに教えてもらったことを、何度も頭に思い浮かべる。
◯◯「約束、覚えていますか?」
(私が勝ったら、ジークさんには無理をせず、休んでもらう……)
ジーク「ええ、もちろんです。10本勝負でよろしいですか?」
◯◯「はい…… !」
ジークさんが剣を構える。
ジーク「では」
言葉が届くよりも早く打ち込んできたジークさんの剣の前に、私は自分から飛び込んでいった。
ジーク「何を…… !」
私を心配して刀をひいたジークさんの肩に、そっと自分の剣を打ち込む。
(できた…… ! )
ジーク「あ……」
◯◯「勝ち……ですよね……?」
ジークさんの手から剣が落ち、大きな音を立てた…ー。