従者さんの険しい表情を見て、リオンくんと私は慌てて城へと戻った…―。
…
……
城の大広間に入ると、リオンくんの帰りを待っていた兄弟達が、彼を責め立てた。
リオンの兄1「リオン! 王子が城を勝手に抜け出すとはどういうことだ!」
リオンの兄2「街の者達によれば、しょっちゅう城下町に用もなく顔を出してるそうではありませんか」
リオンの弟「そうだよ、お兄ちゃんがしっかりしてくれないと……」
リオン「え……」
リオンくんは、お兄さん達の言葉を驚いた様子で聞いている。
リオンの兄1「大地と水の女神に選ばれたお前がしっかりしないと、民を不安にさせてしまうぞ」
リオン「……そんなことないよ!」
ここで初めて、リオンくんがお兄さんに反論した。
(リオンくん……)
リオンくんが頬を膨らませながら、お兄さん達を見据える。
リオン「確かに城の皆には迷惑かけてるかもしれないけど……。 街の皆のことはちゃんと見てるし、それに…―」
その時…―。
衛兵「リオン様、街の者達が嘆願書を持って、城の前にやってきております」
リオン「え……」
リオンくんの大きな瞳が、見開かれる。
(嘆願書……?)
衛兵のもたらした情報に、その場の空気が張り詰めた…―。