第5話 遮られる言葉

心地よい風が、花畑を吹き抜けて行く。

リオン「王子様はね、その花を司る精の代表だから、お城にちゃんといないといけないんだって。 でも僕、退屈で退屈で、もう自由に旅することもできないのかなって思ったら、辛くて・・・-」

自由を望む彼の心が、私の心を強く揺さぶる。

リオン「ねえ、○○・・・・・・。 僕、お兄ちゃん達や弟達に王子様の地位を譲って、自由気ままに旅に出たい・・・・・・。 もっと外の世界のことだって、いっぱい知りたいよ・・・・・・!」

○○「・・・・・・」

切実な彼の言葉が、胸に迫る。

初めて出会った時に見た太陽のような笑顔と、

城で見たどこか遠くに思いを馳せるような、寂しい表情・・・・・・

その二つの表情を思い出して・・・・・・

○○「私に何かできることはある?」

リオン「○○に? ・・・・・・うんと、じゃあ、外の世界の話を聞かせて! ○○は、どんな世界にいたの?」

○○「え? 私?」

リオン「うん・・・・・・!」

○○「ええと・・・・・・この世界よりはずっとビルが多くて、リオンくん達みたいな精霊はいなくて」

リオン「え! じゃあ誰がお花を咲かすの!?」

○○「えっ? うーん、春が来ると自然に・・・・・・?」

リオン「・・・・・・ホント!? すごいね! じゃあ、タンポポは? タンポポは君の世界にも咲いてたの?」

○○「うん、いろんなところにいっぱい」

リオン「わぁ・・・・・・嬉しいなあ! じゃあ、じゃあ次はね・・・・・・」

瞳を輝かせて、リオンくんは次々と私に元いた世界のことを聞いてくる。

その度にさまざまなことを話してあげていると・・・・・・

リオン「よし。僕、決めた!」

リオンくんはいきなり宣言した。

リオン「やっぱり王子なんてつまんない! 僕はこれから・・・-」

だけど彼の言葉を遮るように・・・-

??「リオン様! 大変ですー!」

○○「・・・・・・!」

リオン「あれは、お城の・・・-」

こちらに駆けてきた従者さんは、リオンくんの前に来るなり口を開き始めた。

城の従者「リオン様! 早く城へお戻りください。御兄弟がお戻りになられました」

リオン「えっ、皆が帰って来たの!?」

従者さんが頷くのを見ると、リオンくんは立ち上がる。

城の従者「はい、皆様揃っておいでです・・・・・・しかし・・・-」

リオン「え・・・・・・」

従者さんの険しい表情に、リオンくんは眉をひそめた・・・-。

 

 

 

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