心地よい風が、花畑を吹き抜けて行く。
リオン「王子様はね、その花を司る精の代表だから、お城にちゃんといないといけないんだって。 でも僕、退屈で退屈で、もう自由に旅することもできないのかなって思ったら、辛くて・・・-」
自由を望む彼の心が、私の心を強く揺さぶる。
リオン「ねえ、○○・・・・・・。 僕、お兄ちゃん達や弟達に王子様の地位を譲って、自由気ままに旅に出たい・・・・・・。 もっと外の世界のことだって、いっぱい知りたいよ・・・・・・!」
○○「・・・・・・」
切実な彼の言葉が、胸に迫る。
初めて出会った時に見た太陽のような笑顔と、
城で見たどこか遠くに思いを馳せるような、寂しい表情・・・・・・
その二つの表情を思い出して・・・・・・
○○「私に何かできることはある?」
リオン「○○に? ・・・・・・うんと、じゃあ、外の世界の話を聞かせて! ○○は、どんな世界にいたの?」
○○「え? 私?」
リオン「うん・・・・・・!」
○○「ええと・・・・・・この世界よりはずっとビルが多くて、リオンくん達みたいな精霊はいなくて」
リオン「え! じゃあ誰がお花を咲かすの!?」
○○「えっ? うーん、春が来ると自然に・・・・・・?」
リオン「・・・・・・ホント!? すごいね! じゃあ、タンポポは? タンポポは君の世界にも咲いてたの?」
○○「うん、いろんなところにいっぱい」
リオン「わぁ・・・・・・嬉しいなあ! じゃあ、じゃあ次はね・・・・・・」
瞳を輝かせて、リオンくんは次々と私に元いた世界のことを聞いてくる。
その度にさまざまなことを話してあげていると・・・・・・
リオン「よし。僕、決めた!」
リオンくんはいきなり宣言した。
リオン「やっぱり王子なんてつまんない! 僕はこれから・・・-」
だけど彼の言葉を遮るように・・・-
??「リオン様! 大変ですー!」
○○「・・・・・・!」
リオン「あれは、お城の・・・-」
こちらに駆けてきた従者さんは、リオンくんの前に来るなり口を開き始めた。
城の従者「リオン様! 早く城へお戻りください。御兄弟がお戻りになられました」
リオン「えっ、皆が帰って来たの!?」
従者さんが頷くのを見ると、リオンくんは立ち上がる。
城の従者「はい、皆様揃っておいでです・・・・・・しかし・・・-」
リオン「え・・・・・・」
従者さんの険しい表情に、リオンくんは眉をひそめた・・・-。