リオン「確かに・・・・・・何も言わないで君を連れてきちゃったのはゴメン・・・・・・。 けど、君とは城の中じゃなくて、外でいっぱいお話したかったんだ!」
城を出て、街にやってくると、リオンくんは再び笑顔を見せてくれた。
(外でお話がしたかったって・・・・・・お城では話せないことだったのかな)
うかがうように、彼を見つめていると・・・-。
リオン「じゃあ、今度はあっちへ行こう!」
楽しそうな笑顔を向けられて、私は外に出たかった理由が聞き出せなかった。
・・・
・・・・・・
リオン「・・・・・・それでね、君が去った後、突風が吹いて、郊外まで飛ばされちゃったんだ!」
すっかり陽気になったリオンくんは、楽しそうに話を聞かせてくれる。
○○「ふふっ・・・・・・大丈夫だったの?」
リオン「全然大丈夫だったよ!」
元気に答えるリオンくんに、微笑みかける。
○○「でもよかった。リオンくんが元気になって」
すると、彼は急に真顔になって・・・-。
リオン「・・・・・・僕、元気がないように見えた?」
○○「うん、お城にいる時はなんだか窮屈そうに見えたから」
リオン「バレてたんだ・・・・・・ははっ、僕すぐ顔に出ちゃうから。 だって、じっとしてるの苦手なんだもん・・・・・・。 君だってこんなに天気のいい日は外に出かけたくなるよね?」
○○「そうだね、特にこんな風の気持ちいい日は・・・-」
リオン「・・・・・・うん!」
私とリオンくんの間を伸びやかな風が吹き抜けていく。
リオンくんはその場に腰を下ろすと、ふと花畑を見る瞳を細めた。
リオン「あのね、僕、こうやって外に出たり、旅をしたり・・・・・・。 いろんな人とお話をするのが大好きなんだ!」
リオンくんは、ライトグリーンの瞳を、きらきらと輝かせている。
○○「うん」
リオン「・・・・・・王子に選ばれたのは、素晴らしいことだと思うけど・・・・・・でも
○○「リオンくん?」
語尾に元気がなくなって、伏し目がちになった彼を振り向く。
すると、小さな指先が、彼の隣に腰かけた私の手に重なった。
リオン「王子様はね、その花を司る精の代表だから、お城にちゃんといないといけないんだって。 でも僕、退屈で退屈で、もう自由に旅することもできないのかなって思ったら、辛くて・・・-」
寂しそうな手が私の手を強く握りこむ。
○○「大変なんだね・・・・・・」
リオン「うん・・・・・・僕もお兄ちゃん達や弟達みたいに、本当は自由でいたいのに・・・・・・」
重ねた手のひらに、ぎゅっと力が込められる。
(リオンくん・・・・・・)
小さな彼の心が、広い自由を望んでいる。
その望みはあまりに純粋で、私は彼に握られた手を離せなかった・・・-。