第2話 縋る瞳

春風のようなリオンくんとの出会いから、一週間後…-。

私は彼との約束通り、もう一度ヴィラスティンの地を訪れていた。

街の人に道を聞き、タンポポの一族の城にようやくたどり着いた。

(えっと、リオンくんはどこに?)

あの元気な姿をもう一度見たくて、城の中を探していると、

窓の外をぼんやりと見つめているリオンくんの姿を見つけた。

○○「あ、リオンくん…-」

だけど、かけようとした声を思わず飲み込む。

リオン「……」

(どうしたのかな?)

この前、花畑で会った時とは別人のように、まるで元気がない。

○○「リオンくん、どうしたの?」

リオン「……君は!」

大きな目をまばたきさせて、取り繕うような笑みを彼が浮かべる。

リオン「ううん、なんでもないよっ!」

○○「……リオン君? 本当に大丈夫?」

心配になって、彼の顔を覗き込む。

リオン「別に、本当に普通だよ」

○○「……」

リオンくんの視線は、私から微かに逸らされる。

(やっぱり、なんだか様子がおかしいような……どうしたんだろう?)

気になってその視線の先を見れば…-。

城の侍女達「……」

回廊の奥の方にいる数人の侍女達が、ひそひそと何かを話しながらこちらを見ていた。

(この視線……何だろう?)

ふと服の裾を掴まれて、私は視線をリオンくんへと戻す。

彼は頬を膨らませて侍女達の方を気にしているけれども、時折こちらに目配せを送ってくる。

○○「リオンくん? な、何……?」

すると……

○○「……っ!」

不意に腕を引かれて、体が前のめりそうになった。

リオン「……」

気がつけば、目の前にリオンくんのかわいらしい顔があって……

(大きな瞳……)

すがるようにその瞳が、私の顔をじっと見つめてくる。

(そんなにまっすぐに見つめられると、落ち着かない……)

リオン「……あのね、外に出ない?」

○○「えっ?」

リオン「僕が合図したら城の窓から飛び出すから…-」

○○「飛び……出す……?」

彼から伝えられたその言葉に、私は目を丸くしたのだった…-。

 

 

 

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