踏みにじられた花々の香りが、息苦しいほどに漂っている…-。
あと数歩というところまで、私達の背後から数人の男達が迫ってきていた。
ユリウス「お前らもか……」
〇〇「!!」
襲い掛かってくる男達を、ユリウスさんは素早く体勢を変えて男達をなぎ払った。
(強い……!)
ユリウス「ふざけるなっ!!」
ユリウスさんの瞳に、激しい怒りが宿る。
男達はそのまま、散り散りに逃げて行った。
ユリウス「……次はお前だ」
ユリウスさんは私を放して、うずくまっている男にゆっくり近づいていく。
スパイの男「いいのですか? その方を一人にして」
ユリウス「……!」
逃げ出したと思ったうちの一人が、遠くから私に向けて銃を構えていた。
ユリウス「〇〇……!」
(逃げなきゃ……でも、足が……!)
先程くじいた足に痛みが走り、上手く立ち上がることができない。
スパイの男「せめて貴方の女だけでも、殺してやる……!」
ユリウス「……っ!!」
そして…-。
〇〇「!!」
乾いた発砲音が、花畑に響いた…-。