太陽9話 熱い唇

淡い光に誘われて、まぶたをそっと押し開ける…-。

(あれ、私……)

窓から差し込む陽の光は、明け方の透明色だった。

(私、あのまま眠り込んで……!)

ベッドでは、ユリウスさんがまだ静かに眠っていた。

(なんだか……可愛い……)

彼の前髪を撫でながら、その無防備な寝顔に見とれた。

ユリウス「……ん」

ユリウスさんは目を覚ますと、私の姿に驚いたようだった。

ユリウス「お前……ずっとここに?」

〇〇「私も眠ってしまって……」

ユリウス「そっか。悪かったな」

窓を開けると、蝶が舞い、草花が楽しそうに揺れていた。

〇〇「綺麗な景色……私、この国に来られてよかったです」

楽しそうに飛ぶ蝶達を見ると、私も自然に笑顔になる。

ユリウス「〇〇……」

ユリウスさんはゆっくりとベッドから起き上がり、私に近づく。

(え……)

私の瞳をじっと見つめた後、彼の手が首筋にそっと触れた。

〇〇「ユリウス……さん?」

ユリウスさんの熱が首筋から伝わり、胸が音を立てる。

そのまま瞳が重なるかと思うほどに顔が近づいてきて…-。

ユリウス「……悪い」

今にも唇が触れ合いそうな距離で、ユリウスさんは突然顔を逸らした。

ユリウス「……そろそろ、皆が起きる頃だな」

〇〇「そ……そうですね」

ユリウスさんは大きく背伸びをすると、そのまま部屋を出て行った。

(今……)

唇が熱を持っている。

鼓動が早まり、息をすることさえ苦しくなってしまう。

私は、しばらくその場に呆然と立ち尽くしていた…-。

 

 

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