淡い光に誘われて、まぶたをそっと押し開ける…-。
(あれ、私……)
窓から差し込む陽の光は、明け方の透明色だった。
(私、あのまま眠り込んで……!)
ベッドでは、ユリウスさんがまだ静かに眠っていた。
(なんだか……可愛い……)
彼の前髪を撫でながら、その無防備な寝顔に見とれた。
ユリウス「……ん」
ユリウスさんは目を覚ますと、私の姿に驚いたようだった。
ユリウス「お前……ずっとここに?」
〇〇「私も眠ってしまって……」
ユリウス「そっか。悪かったな」
窓を開けると、蝶が舞い、草花が楽しそうに揺れていた。
〇〇「綺麗な景色……私、この国に来られてよかったです」
楽しそうに飛ぶ蝶達を見ると、私も自然に笑顔になる。
ユリウス「〇〇……」
ユリウスさんはゆっくりとベッドから起き上がり、私に近づく。
(え……)
私の瞳をじっと見つめた後、彼の手が首筋にそっと触れた。
〇〇「ユリウス……さん?」
ユリウスさんの熱が首筋から伝わり、胸が音を立てる。
そのまま瞳が重なるかと思うほどに顔が近づいてきて…-。
ユリウス「……悪い」
今にも唇が触れ合いそうな距離で、ユリウスさんは突然顔を逸らした。
ユリウス「……そろそろ、皆が起きる頃だな」
〇〇「そ……そうですね」
ユリウスさんは大きく背伸びをすると、そのまま部屋を出て行った。
(今……)
唇が熱を持っている。
鼓動が早まり、息をすることさえ苦しくなってしまう。
私は、しばらくその場に呆然と立ち尽くしていた…-。