祭りの最終日を前にして降ってきた激しい雨に、私はただ晴れることを祈るしかできなかった。
そして翌日、夜明けとともに見上げた空に見えたのは…-。
〇〇「……雨」
昨日と変わらない、幾分風が弱くなっただけの雨曇りの空だった。
部屋を出ると、城の人々の声が聞こえてくる。
城の家臣1「やっぱり祭のフィナーレは中止らしい」
城の家臣2「この雨では仕方なかろう、よしんば止んだとしても花火の火薬がもうだめだ」
(やっぱり、中止になってしまったんだ……)
私は窓の外に振り続ける雨を見て、深いため息を吐いた。
(せっかくの最終日……それに、蓬莱に居られる最後の一日だったのに……)
静かに降り続く雨が、まるで私の心まで濡らしていくようだった…-。