祭りの最終日を目前にして降ってきた激しい雨に、私はただ晴れることを祈るしかできなかった。
そして迎えた最終日…―。
喜ばしいことに嵐は過ぎ去り、空にはさわやかな晴天が広がっていた。
私と陽影さんは二人で手を繋いで、胸を弾ませながら祭の行われる会場へと向かった。
〇〇「わあ……!」
陽影「へえ、今年の神輿はまた随分と派手だなー!」
祭は最終日ということもあり、これまでにない賑わいを見せている。
大勢の人々が呑み、歌い、踊り、騒ぎ、会場は最高潮に盛り上がっていた。
陽影「〇〇、あっちの出店の方にも行ってみるぞ」
〇〇「はい」
繋いだ手を引かれて彼の顔を見れば、この上なく楽しそうに笑っている。
その笑顔は、真夏の日差しのようにまぶしい。
(だけど、今日が陽影さんといれる最後の日……)
そう思うと、無性に寂しくなってしまって…―。
陽影「〇〇?」
気づいたら、陽影さんの手をぎゅっと握りしめてしまっていた。
〇〇「あ……わ、私…―」
陽影「……? 安心しろ、はぐれないようにちゃんと、手を繋いでんだろ」
陽影さんは不思議そうに眉を上げて、見当違いなことを言う。
彼の陽気さが、今だけは私の胸を締め付けた…―。