第1話 太陽のような笑顔

四季の国蓬莱・虹の月…―。

街はどこもかしこも祭に踊り狂う人々であふれ、和太鼓と笛の音が騒がしいほどだった。

街全体が活気付いている様子に、辺りをぐるりと見渡すと……

陽影「おーい、よく来たなぁっ!」

鳴り物を打ち鳴らし踊りを楽しむ人々の輪から、見覚えのある姿が駆け寄ってくる。

〇〇「陽影さん!」

(四季の国の王子様……真夏の太陽のような明るさと熱を持った人)

私がこの国にやってきたのは、先日目覚めさせたこの人から、国一番の祭へ誘われたからだった。

〇〇「陽影さん、今回は誘っていただいてありがとうございます」

陽影「あー……そういう堅っ苦しいのはいらねーよ。そんなことよりすごい賑わいだろっ!?」

〇〇「ええ、みなさん、とても楽しそうで」

陽影さんは太陽の下、よく鍛えられた体に汗を光らせて、声を上げて笑う。

陽影「オレが目覚めたからって、例年以上の盛り上がりだからな」

踊り手の青年1「当たり前っすよ、陽影さん!」

踊り手の青年2「こんな時に祭を楽しまないでいつ楽しむっていうんだよ、こんなかわいい子まで呼んでさ!」

〇〇「え……」

青年が口にした言葉に目を丸くしていると……

陽影「ばか野郎が、困らせてんじゃねーぞ、てめーら」

踊り手の青年2「ははっ、すんませんっ、陽影さん!」

陽影「さ、コイツらの言うことは気にしないで、オマエも楽しんでけよ」

〇〇「はいっ……え!?」

強引に手を引かれ、右も左もわからないまま踊りの輪に加わる。

だけど、この国の人々は皆おおらかで……

私は隔たりのない笑顔に包まれ、いつになく羽目を外して祭を楽しんだ。

そして……

〇〇「きれいですね……」

陽影「ああ、初日のクライマックスに相応しい派手さだ」

会場の中心で焚かれる巨大な篝火が、人々の顔をオレンジ色に照らす。

陽影「けど祭はまだ始まったばかりだ、オマエも心の底から楽しんでけよ。 祭りはこれから、10日間も続くんだからな!」

彼の太陽のような笑顔に、私はすっかりこの先が楽しみになり、自然と頷いていた…―。

 

 

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