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マーチア『だって、君、笑った方が可愛いよ。 いつも真面目な顔してるから気付かなかったけど、君ってこんなに可愛かったんだね』
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あの時から、マーチアは私に対して心を開いてくれるようになった。
ある日、彼に呼ばれて部屋を訪れると…―。
(あれ……マーチア、留守かな?)
(呼んでおいて留守にするなんて、マーチアらしいけど)
奔放な彼の性格に、私も今では慣れてしまっていた。
マーチアを待つため、椅子に座ろうと視線をテーブルに向けた時…―。
〇〇「あ…―」
テーブルの上に、先日見たアリスのティーセットが置きっぱなしになっていた。
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マーチア『これ。もうずっと前に死んじゃった、オレのおじいちゃんの宝物なんだよね。 なんでもずーっと昔、このティーセットを使ってアリスとお茶会をしたんだって」
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ティーセットは随分と古い物なのか、陶器の表面がくもってしまっていた。
(どうしよう……綺麗にしてあげたいけど)
(マーチアのおじい様の大切な物を、勝手に触るなんて)
けれどよく見ると、マーチアが使っていたのか、カップの中には少しだけ紅茶が残っていた。
(また染みになるといけないし……洗っておこう)
…
……
私はティーセットを持って城の厨房へ行って、それを丁寧に洗ってから布で磨いた。
そして……
部屋に戻り、磨き終えたティーセットをいつも飾ってある場所に戻した時…―。
マーチア「あれ? あれあれあれ? なんかこのカップ新品みたいにピカピカになってない?」
ちょうどマーチアが、部屋に戻ってきた…―。