第2話 キュートな君のお尻

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〇〇『私はアリスではなく、〇〇ですが……』

マーチア『……!?』
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その後…―。

それまでの意気揚々とした姿から一変し、さも面倒臭いと言ったような表情のマーチアさんに客間へと通された。

(何だったのかな……私を誰かと勘違いしてたってこと?)

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〇〇『……私が、アリス?』

マーチア『そうそう、昔このワンダーメアに表れたって言う、言い伝えの少女……って何その顔」』

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(『アリス』……童話や絵本で見た、不思議の国のアリスのこと?)

『アリス』という名前が気になったけれど……

ひとまずその日は、長旅の疲れもあり、そのまま眠りに就いた。

……

そして翌日…―。

マーチアさんの元を訪れると、彼は今日も変わらず中庭でお茶会を開いていた。

見ると、数人の女の子達と一緒に茶器を鳴らしながら騒いでいる。

〇〇「こんにちは、マーチアさん」

マーチア「ああ、なんだ君か……はいはい、こんにちはー」

私にはあからさまに興味がないことを示して、マーチアさんは隣に座る女の子へクッキーを差し出す。

〇〇「……」

(がっかりさせちゃったのかな)

楽しそうに談笑するマーチアさんの姿を見て、少し居心地の悪さを感じ始める。

私は……

〇〇「……」

どう接していいものか、思い悩んでいると……

マーチア「あれ、君まだそこにいたの?」

私を振り向いて、マーチアさんがわざとらしく首を傾げた。

〇〇「あの……なんだかがっかりさせちゃいましたか?」

私の言葉に、マーチアさんは不機嫌そうにため息を吐いた。

マーチア「そりゃ君がアリスだと思ったからだよ。でも違ったみたいだし。 しかも君って、全然普通でつまんない。 まったく、トロイメアのお姫様はアリスだなんてガセネタ、掴ませたのは誰だよ……」

唇を尖らせたかと思うと、不意に彼の茶色い垂れ耳がピクリと動いた。

マーチアさんの、アーモンド型の瞳が私を見て瞬く。

(え……?)

マーチア「ねえ、ちょっと君、後ろを向いてみて。それで、くるっとその場で回って……そう!」

〇〇「え? あ、はい!」

彼の大きな声に、気づくと言う通りにしてしまっていた。

マーチア「……うん! よく見たら君、オレ好みのとってもキュートなお尻をしてるね! あ、でも残念、尻尾はないんだ」

〇〇「……っ!!」

ぺろん、とスカートの上からお尻をなぞられて、私は思わず声を上げた。

〇〇「な……なな、今、何を!」

マーチア「あ、怒っちゃった? ごめんごめーん」

けれど全く悪びれた様子のないマーチアさんに、文句を言い募ろうとしたその時…―。

友人1「おーい、マーチア。今日は行かないのかー?」

マーチアさんの友人らしい、数人の男性達が、中庭の入り口から彼を呼んだ。

マーチア「あ、もう約束の時間!? 今、行くよ。 じゃあね、お尻のキュートな子ウサギちゃんっ!」

呼ばれた方へ駆け寄りながら、マーチアさんはこちらを向いて、イタズラなウインクを飛ばす。

そのまま、彼は男達と街へ繰り出してしまった。

(な……何なんだろう)

ひとり取り残された私は、呆然とたたずむことしかできなかった…―。

 

 

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