愛の日の前日、○○と一緒に夜の庭園へとやってきたオレは、プレゼントを手にした彼女から、わずかに視線を逸らすと…ー。
ジョシュア「……で? オレは君からチョコレートをもらえるのかな。 愛の日の意味は、ちゃんと教えたよね?」
(それをわかった上で、君は……?)
○○「はい……」
鼓動の高鳴りを必死に抑えながら尋ねると、彼女が静かに頷く。
○○「ほんの少しの勇気を持って…… 大切な人に想いを伝える日、ですよね」
ジョシュア「うん…… そうだね」
(……期待、してもいいんだね?)
(オレは、君にとって大切な存在だって……)
期待を込めながら○○を見つめる。
すると、少しの沈黙の後…ー。
○○「ジョシュアさんが、好きです……。 愛の日に、これを渡そうと思って……」
小さく声を震わせながら想いを告げる○○に、胸がいっぱいになる。
そんなオレに、彼女は手にしていた紙袋を差し出した。
ジョシュア「……今、開けてみていいかい?」
○○「はい……」
○○が差し出す包みを、そっと受け取る。
しかし……
(参ったな、緊張で手が震える)
(せめて○○には気づかれないようにしないと)
緊張がばれてしまわないように、丁寧にラッピングをほどいていく。
その中から現れたのは……
○○「ジョシュアさんの思い出のチョコレートと……。 もう一つは、同じシリーズの新作だそうです」
(新作…… ショップバックを見て、あのチョコレートを買ってきてくれたんだろうなとは思ったけど)
(君はさらに、オレを喜ばせようと……)
二種類のチョコレートを手にしながら、オレは喜びを噛みしめる。
そして……
ジョシュア「……センスのいいチョイスだね」
オレは彼女の顎先に指を添え、唇が触れそうなほど近くまで顔を近づけた。
ジョシュア「ちゃんと、オレの大好きな紅茶と合うチョコレートを選んである」
○○「考えるのに、時間がかかってしまって……」
(そうか。だからこんなに遅くまで……)
(……さっきは怒ってしまったけど、本当は嬉しいよ)
恥じらうように言葉を紡ぐ彼女にオレはついばむような口づけを落とす。
○○「っ……!」
ジョシュア「このラッピングも、チョコレートも、全部オレ好みだ。 あとは…… 今夜、ずっと君が傍にいてくれれば。 ……全てが完璧だよ」
○○の体をそっと包み込んだ後、胸元へと引き寄せる。
すると彼女はオレの胸に頬を寄せた後、ゆっくりと顔を上げた。
(本当に綺麗だ…… その潤んだ瞳も、柔らかな唇も)
(君の全てがオレ好みで……)
オレは目の前の彼女を見つめながら、笑みを浮かべた。
ジョシュア「ありがとう、○○」
引き寄せられるように顔を近づけると、お互いの唇が柔らかく重なる。
最初は触れるだけだったそれは、少しずつ熱を帯びていって……
○○「ジョシュアさん……。 私、ジョシュアさんのことが本当に大好きです」
息を上げながら想いを告げる○○に、愛しさが増し……
オレは突き動かされるように、もう一度彼女へと口づけた。
ジョシュア「オレも、君のことが大好きだ。 言葉では伝えきれないほどに、君のことが……」
○○の体をきつく抱きしめると、彼女もそれに応えるように強く抱きしめ返してくれる。
するとその時、冷たい夜風が吹き抜けて……
ジョシュア「少し冷えてきたね。そろそろ行こうか? 今夜は、ずっと傍で……。 二人で一緒に、愛の日を迎えよう」
○○「……はい」
オレの言葉に、○○は恥じらいながらも頷いてくれた。
そんな彼女の肩を抱き、オレは自室へと戻るためゆっくりと歩き始める。
ジョシュア「一粒のショコラに、ほんの小さな勇気を乗せて……」
○○「え……?」
ぽつりとつぶやくオレの顔を、○○が見上げる。
ジョシュア「この言葉の恩恵に与かることができて、本当によかった。 君とこうして想いを通い合わせることができて、本当に……」
○○「ジョシュアさん……」
甘い香りに包まれた、ショコルーナの城…ー。
この城でオレは、偶然再会した彼女と……
とろけるような愛を交わしながら愛の日を迎えたのだった…ー。
おわり。