太陽7話 一欠けらの勇気

ジョシュアさんと別れた後、もう一度老舗のショコラショップを訪れた。

扉を開いた途端、甘やかなチョコレートの世界に招かれる。

(ジョシュアさんの思い出が詰まった、特別なショコラティエ……)

このショコルーナの街には、素敵なチョコレートの店が軒を連ねているけれど……

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ジョシュア「やっぱり、この店の味が一番気に入ってる」

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あの時のジョシュアさんの優しい顔が、何度も思い起こされる。

(明日の愛の日には、ジョシュアさんにこのお店のチョコレートを渡したい)

強くそう思い、私はショーケースを眺め始めた。

ジョシュアさんの好みに合いそうなものを探し、熱心にショーケースを眺めていると…ー。

店主「お客様。愛の日の贈り物ですか?」

○○「え?あ、はい…… そうなんです」

改めて言葉にすると、頬に熱が集まるのがわかった。

店主「お悩みでしたら、こちらはいかがでしょう?」

店主は穏やかに微笑むと、ショーケースからチョコレートを一粒差し出してくれる。

(わあ、綺麗なチョコレート)

店主「先ほど、お客様がご覧になられていたシリーズの新作になります」

懐かしさを感じるような、温かみあるシルエットはそのままに、華やかな金箔や、ドライフルーツで煌びやかにアレンジされていた。

(ジョシュアさんの思い出のチョコレートの……)

○○「それじゃ、これを一つと……」

甘酸っぱい気持ちになりながら、私はそのチョコレートを手に取った…ー。

……

店を出た頃には、すっかり日が落ちてしまっていた。

昼間の喧騒は嘘のように静まり、通りを行く人影もまばらだった。

(もうこんな時間…… 早く帰らなきゃ)

見慣れぬ街で一人、取り残されるような気持ちになる。

(今日はずっと、隣にジョシュアさんがいてくれたからだ……)

彼の存在を、改めて大切にしながら、私はチョコレートの入った紙袋を手に、城へと急いだ。

日が暮れた後、急いで宿泊先の城へと戻ると…ー

(あっ……)

ジョシュア「……」

壁にもたれながら、ジョシュアさんが私に視線を流した。

ジョシュア「こんな時間まで、どこへ行ってたの?」

にわかに怒りを含んだ瞳が、すっと細められる。

(心配して、ずっと待っていてくれたんだ……)

○○「ごめんなさい……」

しゅんと肩を落とし、ジョシュアさんに頭を下げると……

ジョシュア「まったく、姫としての自覚がなさ過ぎるよ。何かあったらどうするんだ」

○○「……」

何も言い返せず、頭を上げることができない。

すると…ー。

ジョシュア「本当に心配した」

(え……?)

顎を掴まれたかと思うと、そのままぐいと引き上げられた。

○○「ジョシュアさん……?」

吐息がかかるくらい近い距離にジョシュアさんの顔があり、胸が早鐘を打ち始める。

ジョシュア「いけない子には…… お仕置きが必要だね」

ジョシュアさんはクスリと、妖艶な笑みを浮かべる。

(お仕置き!?)

○○「あ、あの…ー」

慌てて顔を離そうとすると、ふわりと額にキスが落とされた。

ジョシュア「明日は俺がずっと一緒にいるから。 覚悟しておいてね?」

(ジョシュアさん……)

意地悪な口調なのに、彼の瞳はすごく優しく細められていて……

その目に見つめられると、私は身動きすらできなかった……。

 

 

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