ショコルーナの紅茶専門店で、ゆったりとしたティータイムを楽しんだ後…ー。
○○「紅茶のお店でも、愛の日向けの商品が出ていましたね」
ジョシュア「○○は、紅茶のトリュフが気に入ったみたいだったけど?」
○○「一口頬張ると、ほのかに紅茶の香りがして…… とてもおいしかったです」
甘やかな舌触りを思い返せば、それだけで幸せな気持ちになれた。
そんな私を見つめ、ジョシュアさんが瞳に優しい色をにじませる。
ジョシュア「じゃあもう一軒、付き合ってくれる?」
…
……
○○「わあ、素敵なお店……」
ジョシュアさんが連れて来てくれたのは、老舗のショコラショップだった。
店内は品のいい装飾が施されており、さまざまなチョコレートがケースに綺麗に並べられている。
○○「ジョシュアさん、どうしてこのお店へ?」
ジョシュア「ああ、まだ話してなかったね。 子どもの頃、外遊に出かけた父が、よくお土産に買ってきてくれたんだ」
○○「お父様が?」
ジョシュア「ああ、幼いオレにとっては、厳しい父だったけどね…… この時ばかりは、帰りを待ちわびて。 やっぱり、この店の味が一番気に入ってる」
ジョシュアさんの瞳が、優しく細められる。
(こんなジョシュアさんの顔…… 初めて見たかも)
店内を見渡すジョシュアさんの横顔は、なんだかあどけなくて……
○○「……そうなんですね」
彼の大切なところに触れたような気がして、胸がいっぱいになった。
(ジョシュアさんとお父様の、思い出の味……)
私はそっと腰をかがめ、ショーケースを覗き込む。
可愛らしい小粒のチョコレートが、種類も豊富に取り揃えられていた。
(どのチョコレートが、ジョシュアさんの思い出の味なんだろう?)
ジョシュア「ああ、これだ…… 懐かしいな」
ジョシュアさんが、ショーケースの中のチョコレートを指さした。
店員「こちらは創業当時から、昔ながらの技法で作られております」
それは丸みを帯びたシルエットの、シンプルなチョコレートだった。
(なんだか温かみを感じる)
ジョシュアさんはチョコレートを眺めながら、懐かしそうにまた目を細めた。
(そうだ…… このチョコレートを、ジョシュアさんに贈ろうかな)
愛の日は、大切な人に想いを伝える日…ー。
(少し気恥ずかしいけど、素敵な時間を過ごせたし…… お礼がしたい)
思い出のチョコレートなら、ジョシュアさんも受け取ってくれるかもしれない。
そう、心に決めた時…ー。
ジョシュア「このチョコレートを、二つ包んでもらえますか。 一つは軽くラッピングを」
○○「えっ?」
ジョシュア「よければ、君にも食べてもらいたくて」
私が申し出るより先に、ジョシュアさんが私の分までチョコレートを買ってくれたのだった…ー。