チョコレートの国・ショコルーナ 白の月…―。
いつかの夢にみたような、甘いお菓子の世界が目の前に広がっている―。
○○「なんて可愛い街……」
街中にラッピングが施されたような、可愛らしい景色に胸が躍る。
(街中にチョコレートの甘い魔法がかかってるみたい)
街の屋台から漂ってくるホットチョコレートの甘い香りは、思わず、ふらふらと引き寄せられそうになるほどに魅惑的だった。
○○「いけない、先にお城へご挨拶に行かなくちゃ」
チョコレートの甘い誘惑に抗いながらも、私は城へと向かって歩き出した。
…
……
国王様との謁見を済ませた後、城の長い廊下を歩いていると…―。
??「○○?」
背後から声をかけられ、声の主を振り向く。
ジョシュア「やっぱりそうだ。君も招待されていたんだね」
そこに姿勢よく立っていたのは、紅茶の国・ベルガントの王子、ジョシュアさんだった。
○○「ジョシュアさん! こんなところでお会いできるなんて」
ジョシュアさんとの偶然の再会に、自然と声が弾む。
○○「ジョシュアさんのところにも、『チョコレート試食会』の招待状が?」
私の問いかけに、ジョシュアさんは頷くように顎を引く。
前と会った時と変わらない、流麗な立ち居振舞いに見とれてしまった。
ジョシュア「『愛の日』にチョコレート…… っていう試みが、面白そうだったからね」
(愛の日?)
耳慣れない言葉に、私は小首を傾げる。
ジョシュア「愛の日に合わせて、ベルガントでも、紅茶のギフトを展開してみようかなって」
○○「あの、愛の日…… ってなんですか?」
ジョシュア「身近な人に、プレゼントを贈って愛と感謝を伝える日だよ」
(贈り物…… なんだかバレンタインみたい)
○○「愛を伝える日…… 素敵ですね」
弾む気持ちもままに、彼に笑いかけると……
ジョシュア「……君、そんなことも知らないでここにやって来たの? 失礼な振舞いは身を滅ぼすよ。注意した方がいいんじゃないかな」
厳しい声色のジョシュアさんの言葉を聞いて、自然と背筋が伸びてしまうのだった…―。