ショコルーナの街を、夕焼けが赤く染める…―。
男の子「クレト王子……っ! その……好きな子にチョコレートを贈りたいんですけど……。 どのチョコレートを選べば気持ちが伝わるのかわからなくて」
男の子は必死な様子で、私達にそう問いかけた。
クレト「うーん、そうだなー」
私達は、三人で頭を悩ませていた。
男の子「女の子の気持ちとか、全然わからなくて……お姉さんは、何をもらったら嬉しいですか?」
男の子は、助けを求めるような目で私を見つめる。
(何をもらったら、嬉しいか……)
しばらく思考を巡らせた後、男の子に自分の意見を伝えてみることにした。
○○「私は、チョコレートの種類も大事だと思うけど……。 それよりも、渡すときの気持ちとか……雰囲気も考えてみると気持ちが伝わるかなって思うよ」
男の子「雰囲気……?」
すると…―。
クレト「それだ!!」
突然、クレト君が大きな声をあげた。
さっきまで悩んでたのが噓と思うほどに、その表情も輝いている。
クレト「君、明日の夜、この街でその子と待ち合わせしてチョコレートを渡そう! いいね?」
男の子「えっ、ここで……ですか?」
クレト「うん! 大丈夫! 任せておいて!」
男の子「あっ……はい! わかりました」
クレト君は白い歯を見せて笑うと、突然城の方へと走り出す。
○○「えっ、ちょっと、クレト君!?」
私は急いで、その背中を追った…―。
城に着くなり、クレト君は部屋へと一直線に向かおうとした。
○○「待って……! クレト君、どうしたの?」
クレト「ごめん、今は言えない! あっ、そうだ! 明日の夜までは絶対に街へ出ないで!!」
○○「明日の夜まで!?」
クレト「それで、明日の夜になったら街で待ち合わせがしたいんだ。 ……いい?」
クレト君が、まっすぐに私を見つめてくる。
(何がなんだか、わからないけど……)
その真剣な瞳を前に、私は何も聞けなくなってしまう。
○○「うん、わかった」
クレト「ありがとう、○○。楽しみにしててね」
屈託ない彼の微笑みは、全ての疑問を吹き飛ばすほど可愛くて…―。
明日の夜に思いを馳せると、胸がドキドキと甘く鳴り出すのだった…。