城に戻っても、まだベリーの香りに包まれている気がした。
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コロレ「それより、ごめん、先に散歩を終わらせて、すふれを連れ帰っててもらってもいいかな?」
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(いったい、何だったのかな?)
昼間のことを考えながら、客室で過ごしていると…―。
執事「○○様。お休みのところ申し訳ございません」
○○「いえ。どうかされたんですか?」
ドアを開け、尋ねると……
執事「コロレ様をご存じないかと思いまして……お戻りになられませんもので」
○○「え……!」
(もしかしてまだ、ベリー畑から戻ってないってこと?)
すでに外は真っ暗になってしまっている。
○○「あ、あの……私、探してきます!」
執事「あ、○○様…―」
胸のざわつきを覚えて、私は城を飛び出してしまった…―。
コロレさんを探して、ベリー畑へ向かう途中のこと…―。
前方から見覚えのあるすらりとした長身の男性が見えた。
○○「コロレさん……!」
コロレ「っ! ○○さん?」
コロレさんは驚いて目を丸くしたかと思えば、次にはすぐに慌てて、手に持っていたものを後ろに隠した。
(何だろう?)
不思議に思いながらも、コロレさんが見つかったことにまずは安堵のため息がこぼれる。
○○「よかったです……まだ戻られてないって聞いて、心配になってしまって……」
コロレ「それで僕を探して?」
○○「はい……、そうです」
コロレ「そ、そっか。ごめんね、心配かけて……」
○○「そうです、どれだけ心配したか……! それに、ずっと様子が変だし……私……」
コロレ「……○○さん」
街灯の明かりにうっすらと照らされたコロレさんは、頬をほのかに染めていた。
コロレ「……本当にごめん」
○○「もう、帰れますか?」
コロレ「……うん、帰るところだよ。一緒に……帰ろうか」
(やっぱり……何をしていたかは教えてくれないんだ)
(胸が痛い……)
○○「……はい」
二人並んで歩く夜の帰り道……
すぐ隣にいるコロレさんのことが、とても遠く感じられた…―。