甘酸っぱい香りの漂う調理場で、コロレさんと淹れたお茶を飲む…-。
コロレ「……おいしいね」
心なしか口数の少ないコロレさんが、私に遠慮がちな視線を向けた後…-。
コロレ「えっと……じゃあ、これ味見してみてもらっていいかな?」
3つのピンク色のチョコレートを私に差し出した。
コロレ「チョコレートにどれだけ果実を練り込むか、いろいろ試してたらはまっちゃって……。 どれが一番好まれるのか、わからなくなってきちゃったんだ」
コロレさんは、困ったように眉尻を下げ微笑む。
ふんわりと柔らかでつかみどころのない笑みに、またとくんと鼓動が鳴った。
〇〇「私でよければ……食べてみますね」
コロレ「うん、ぜひ」
渡された3つのチョコレートを、しっかりと味わって食べてみる。
(どれもすごくおいしい。だけど、この中から一番を選ぶんだよね)
コロレさんが、目をしばたたかせながら、私の回答を待っている。
コロレ「……どう?」
〇〇「どれもおいしいんですが……強いて言うなら、これかなって」
口当たりがよかった、3つの中の一つのチョコレートを指し示す。
すると……
コロレ「わあ、やっぱり?」
コロレさんは、花を咲かせたような満面の笑みになった。
コロレ「僕もこれが一番おいしいって思ったんだよね」
コロレさんは心底安心した様子で、ぱりんと一口、そのチョコを口に放った…-。