コロレ「○○さんっ!!」
○○「え……っ!!」
コロレさんが突然、私の体を腕の中に引き寄せた。
(な、何……!?)
頭が真っ白になった私のすぐ脇を、スピードを落とさないままの車が勢いよく走り抜ける。
すふれ「うう~……」
コロレ「……危ないところだった」
まだコロレさんの腕の中に抱き留められたまま、彼の安堵のため息を聞く。
長身のコロレさんに抱きしめられると、私の体はすっぽりと覆われてしまって……
(な、なんだかすごくドキドキして……)
(ど、どうしよう……抱きしめられたままだけど……)
コロレ「はぁ……びっくりした」
緊張する私をよそに、コロレさん私を抱えこんだままため息を吐いた。
すらりとした長身なのに、私を抱きしめる腕はとても逞しくて……
考えなくても、男性なのだということを意識してしまう。
(このままじゃ、ドキドキしすぎて……)
○○「あ、あの……コロレさん、もう大丈夫です」
今度はしっかりとコロレさんに言葉を伝えると……
すふれ「わんっ! わんわんっ!」
コロレ「っ……!?」
すふれが声を上げると同時に、コロレさんは勢いよく私の体を解放した。
コロレ「あ……」
その顔は、耳まで真っ赤に染まってしまっている。
○○「ありがとうございました……」
コロレ「う、ううんっ」
ひどく焦った様子のコロレさんは、一人でぶんぶんと大きくかぶりを振っている。
○○「あの…―」
コロレ「な、何でもない、帰ろう」
そう端的に言ったかと思えば、足早に歩き始めてしまう。
(コロレさん……?)
不思議に思いながらも、私はその背を追ったのだった…―。
…
……
城に到着する頃には、すっかり日は落ち、空には星が瞬き始めていた。
(コロレさん、結局……あれから全然しゃべってくれなかった)
○○「あの、コロレさん…―」
部屋の前まで送ってくれたコロレさんに、話しかけようとするけれど……
コロレ「お、おやすみなさいっ」
コロレさんはまた赤い顔をして、さっと背を向けてしまった。
そのまま、廊下の向こうへ立ち去ってしまい……
(本当に、どうしちゃったんだろう……)
不安に駆られながらも、それ以上追いかけたりなどはできずに……
楽しい一日がまるで夢だったかのように思え、胸が痛くなった…―。