第6話 抱き寄せられた腕の中

コロレ「○○さんっ!!」

○○「え……っ!!」

コロレさんが突然、私の体を腕の中に引き寄せた。

(な、何……!?)

頭が真っ白になった私のすぐ脇を、スピードを落とさないままの車が勢いよく走り抜ける。

すふれ「うう~……」

コロレ「……危ないところだった」

まだコロレさんの腕の中に抱き留められたまま、彼の安堵のため息を聞く。

長身のコロレさんに抱きしめられると、私の体はすっぽりと覆われてしまって……

(な、なんだかすごくドキドキして……)

(ど、どうしよう……抱きしめられたままだけど……)

コロレ「はぁ……びっくりした」

緊張する私をよそに、コロレさん私を抱えこんだままため息を吐いた。

すらりとした長身なのに、私を抱きしめる腕はとても逞しくて……

考えなくても、男性なのだということを意識してしまう。

(このままじゃ、ドキドキしすぎて……)

○○「あ、あの……コロレさん、もう大丈夫です」

今度はしっかりとコロレさんに言葉を伝えると……

すふれ「わんっ! わんわんっ!」

コロレ「っ……!?」

すふれが声を上げると同時に、コロレさんは勢いよく私の体を解放した。

コロレ「あ……」

その顔は、耳まで真っ赤に染まってしまっている。

○○「ありがとうございました……」

コロレ「う、ううんっ」

ひどく焦った様子のコロレさんは、一人でぶんぶんと大きくかぶりを振っている。

○○「あの…―」

コロレ「な、何でもない、帰ろう」

そう端的に言ったかと思えば、足早に歩き始めてしまう。

(コロレさん……?)

不思議に思いながらも、私はその背を追ったのだった…―。

……

城に到着する頃には、すっかり日は落ち、空には星が瞬き始めていた。

(コロレさん、結局……あれから全然しゃべってくれなかった)

○○「あの、コロレさん…―」

部屋の前まで送ってくれたコロレさんに、話しかけようとするけれど……

コロレ「お、おやすみなさいっ」

コロレさんはまた赤い顔をして、さっと背を向けてしまった。

そのまま、廊下の向こうへ立ち去ってしまい……

(本当に、どうしちゃったんだろう……)

不安に駆られながらも、それ以上追いかけたりなどはできずに……

楽しい一日がまるで夢だったかのように思え、胸が痛くなった…―。

 

 

 

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