コロレさんと、ベリー畑を見に行くと約束した当日…―。
空は快晴で、気持ちのいい日よりに恵まれた。
コロレ「ここが、僕の国のベリー畑だよ」
○○「わあ……!」
一面に広がる緑と、赤や濃い黒色のベリー畑に、感嘆の声が漏れた。
すふれ「わんわんっ!」
コロレさんの相棒すふれも、嬉しそうに尻尾を振って駆け出す。
立ちこめる甘酸っぱい香りが風に含まれて、とても清々しい。
コロレ「どうかな? 僕達の大切にしているベリー畑!」
○○「……言葉になりません」
広大で美しい光景に胸を打たれていると、コロレさんは満足そうに頷いた。
コロレ「最高の褒め言葉だね。 おいで、ベリーのこと、もっと教えてあげる」
コロレさんがさりげなく、そっと私の背中を押す。
背中の布越しだけれど伝わる手のひらの温もりに鼓動が跳ねた。
コロレ「この畑にあるベリーは、ラズベリーなんだ。一般的には赤と黒が多いけど、黄色もあるんだよ」
○○「え、そうなんですか?」
コロレ「うん、イエローラズベリーは収穫時期が少しずれるからまだここにはないけど……。 うーん、翌々月から実り始めて、畑が黄色に染まるよ」
(黄色いラズベリー……見てみたかったな)
○○「そうなんですね……残念です」
コロレ「あっ、そうか。ごめんね……」
○○「え……?」
不意に、コロレさんが哀しげに眉を下げる。
コロレ「貴方がずっとこの国にいるわけじゃないのに……僕……」
○○「っ……! い、いえ、そんな。気にしないでください」
コロレ「本当にごめんね? 僕がもしまた心ないことを言ってしまったら、注意してくれていいからね?」
○○「ありがとうございます……でも、本当に大丈夫です」
そう心から伝えれば、ようやくコロレさんの顔が和らいだ。
(マイペースな人かと思ったら……繊細で優しい一面もあって)
(なんだかコロレさんの傍にいると、心が温かくなるみたい)
コロレ「○○さん、ベリーを収穫してみようか。せっかくだから!」
○○「はい!」
すふれ「わんっ!」
それから私達は、ベリー畑で楽しいひとときを過ごしたのだった…―。
…
……
空がオレンジ色に染まる頃、ようやく帰路につくことにした。
コロレ「長い時間、楽しんでしまったね。すっかり、日が暮れてしまった」
はにかむようにコロレさんは言って、私の顔を優しく見やる。
夕日に照らされた頬は心なしか赤く、瞳は橙色に輝いていた。
○○「とても楽しかったです。今日は本当にありがとうございました」
お礼を言ったその時…―。
コロレ「○○さんっ!」
○○「え……っ!!」
私の体が、突然コロレさんの腕に抱え込まれた…―。