甘いケーキを食べながら……コロレさんはたくさんのことを教えてくれた。
コロレ「ショコラベリィでは、カカオと一緒にたくさんのベリーが収穫できるんだよ」
○○「ベリーを……素敵ですね!」
コロレ「それにしても貴方が、こうして僕達のことに興味を持ってくれてとても嬉しいな」
時間を忘れ、私達はおしゃべりに花を咲かせていた。
○○「私も、いろいろお話が聞けて嬉しいです」
コロレ「ふふっ……あ、そうだ。よければ、ベリー畑を見に行く?」
○○「わあ、いいんですか?」
コロレ「うん、もちろん。 この国ではベリーを大事にしていて、いろんな種類のベリー畑があるんだ」
その光景を思い描くと、もう口の中が甘酸っぱいような感覚になる。
○○「……楽しみです!」
コロレ「うん、じゃあ行こう!」
(え……?)
楽しそうにそう言ったコロレさんが、向かった先は……
(あれ? 外に出るわけじゃないのかな? お城の中?)
コロレさんは私が不思議に思うのもお構いなしに、城の中をずんずん歩いて行って…―。
コロレ「さあ、どうぞ。僕の部屋だよ」
(部屋?)
○○「あの、ベリー畑に行くのでは……?」
コロレ「ふふっ、入ったらわかるよ。さあ、どうぞ」
答えてもらえないままに、部屋へ誘導された。
すると部屋の中にいたのは…―。
??「わんっ! わんわんっ!」
○○「っ……!」
可愛らしい鳴き声でコロレさんに飛びついたのは、真っ白な犬だった。
コロレ「すふれ! いい子にしてた?」
すふれ「わんわんっ!」
すふれと呼ばれた、真っ白でもこもこの可愛い犬が返事をする。
コロレ「すふれ、お客様だよ。お座り!」
すふれ「わんっ」
○○「わあ、とってもいい子ですね」
愛嬌のあるつぶらな瞳を、コロレさんと私に交互に向ける。
コロレ「僕の相棒なんだ」
愛くるしい様子に思わず手を伸ばして、そっと触れた。
コロレ「この子の名前はすふれだよ。それから、すふれ、この人は僕の大事なお客様。 ○○さんって言うんだよ」
犬にも丁寧に接する姿は、とてもコロレさんらしい。
○○「名前、すふれって言うんですね」
すふれ「わんっ」
コロレ「可愛いでしょ?」
(すふれ……似合ってるかも)
○○「はい、とても可愛いです」
コロレ「この子はね、丸くてふわっとしてるから、すふれって名前なんだ」
コロレさんの、すふれを見る瞳はいつにも増して優しげで……
○○「本当に、大切な相棒なんですね」
コロレ「うん、もちろん」
コロレさんは、満足そうに微笑んだ。
それからしばらく…―。
懐いてくれたすふれと遊んでいるうちに、いつの間にか、空は橙色に染まってきていた。
コロレ「あ、もうこんな時間……」
○○「っ! 本当ですね。いつの間に……」
二人で、ふと遊ぶ手を止めて、部屋の窓から見える空を見つめた。
コロレ「誘っておきながら、ごめんね。暗くなると危ないから、ベリー畑は明日でもいいかな?」
○○「はい、もちろんです」
コロレ「……」
にこりと笑って返事をすると、コロレさんにじっと見つめられた。
コロレ「○○さんって、優しいね」
○○「え…―」
コロレ「僕、マイペース過ぎるって怒られることもあるんだけど……貴方は笑ってくれるから」
○○「それは……私も、楽しいから…―」
コロレ「そうなんだ? ふふ、すごく嬉しい。 今度絶対、ベリー畑に案内するからね」
コロレさんにふわりと笑いかけられ、私の心に甘さが広がっていった…―。