それから…―。
フォルカーさんの周りには、いつも張り詰めた空気が満ちていた。
(エリックさんがフォルカーさんを陥れたって、噂になってるけど……)
心配で思わず、彼の職場に足を運んでしまうと……
フォルカー「何をしている! そんなことは必要ないと言っているだろう!? 一人でしたほうがいい。しばらく誰も立ち入るな! 全て一人でする」
廊下まで聞こえてくる怒鳴り声に立ち止まっていると、追い出されたらしい事務官の人達が部屋から出てきた。
事務官1「取り付くしまも無いって感じだな」
事務官2「ああ。ちょっと焦り過ぎじゃ……」
ひそひそと交わされるその会話が、私の胸をますますざわめかせた。
(フォルカーさん……)
開け放たれた扉から顔を覗かせ、そっと中の様子を窺う。
〇〇「あの……フォルカーさん、大丈夫ですか?」
フォルカー「っ……問題ない。一人にしてくれ」
険しい顔つきのまま、フォルカーさんは冷たく言い放った。
フォルカー「……他人とわかり合えるはずなどない。 もっと……もっと、厳しい体制を敷くべきであり……」
その後、ひとり言を言い始めたフォルカーさんが心配でたまらなかったけれど、私は彼にかける言葉を見つけられないままでいた…―。