町に侵入したモンスターを討伐してから、数日後…-。
プリトヴェン「うーん……」
俺は自室で人払いをした後、○○が俺の想いを受け入れてくれた時のことを思い返しながら、頭を悩ませていた。
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プリトヴェン『……生きた心地がしなかった。 初めて見つけた特別な人なのに…。 君を失うなんて耐えられない……!』
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プリトヴェン「まさか、自分の口からあんな言葉が出るなんてな……。 それに……」
俺は自分の両手を見つめながら、彼女の感触を思い出す。
(あの時、つい抱きしめてしまったけど)
(そもそもまだ交際をしていない男女の間で、あれは許されるんだろうか……)
プリトヴェン「まあ、結果オーライと言えば、そうなんだけど……」
(○○、実は怒っていたりしないだろうか……?)
答えの出ない門答を始めてから、早数時間…-。
結局、恋愛経験に乏しい自分では、納得のいく答えに辿り着けそうもなく……
プリトヴェン「……。 ……カリバーンに、聞いてみるか?」
そうつぶやいた瞬間、俺は頭を左右に振った。
(さすがに、弟にこんなことを聞くのはあり得ないな)
(あいつのことだから、真剣に答えてくれるだろうし、もちろん応援もしてくれるだろうけど……)
プリトヴェン「どう考えても、恥ずかしすぎる……」
俺は部屋の隅でひとしきり悶えた後、大きなため息をつく。
(はあ……世の中の男達は、こんな時、一体どうしてるんだ?)
(それとも、こんなふうに思い悩む俺がおかしいのか……?)
プリトヴェン「……○○……」
俺は彼女の名前をつぶやいた後、再び大きなため息をつく。
プリトヴェン「……我ながら、情けないな」
(こんな男だとわかったら、君は俺を嫌になるだろうか)
(いや、まあ、既に何度となく情けない姿は見せてるけど……)
俺は、今日何度目かもわからないため息をつきながら、ベッドに倒れ込む。
そうしてぼんやりと天井を眺めていた、その時…-。
プリトヴェン「……でも……。 あの時、君は……」
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プリトヴェン『ああ、もう……何言ってるだ俺は…。 ほんとにごめん……突然こんなこと言われたって困るよな……』
○○『……嬉しかったです』
プリトヴェン『え?? ……えっ!? ほ、ほんとに……?』
○○「はい……」
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プリトヴェン「……」
(君は、俺の拙い告白を受け入れてくれて……)
(俺の……こっ、恋人になってくれたんだよな)
プリトヴェン「…………恋人、か……」
改めて口に出すと、胸の奥が温かいような、くすぐったいような、何とも言えない幸せな気持ちで、いっぱいになる。
プリトヴェン「……そうだよな。 あんな拙い告白でも……こんな不器用な俺でも、いいって言ってくれたんだ」
(もし怒ってるなら、恐らく受け入れてはくれなかっただろうし)
(もっと自信を持ってもいいはず…-)
(……? そういえば……)
ふと湧いた疑問に、俺は枕を抱えたまま上半身を起こす。
プリトヴェン「君は、俺のどこを好きになってくれたんだ……? ……。 ……まずい。気になりだしたら、止まらなくなった……」
悩みの種が増えてしまった俺は、再び体を横たえ、枕を強く抱きしめながら、ベッドの上を何度も何度も転がる。
そして……
(俺のどこを好きか、とか、ストレートに聞いてもいいものなのか?)
(いや、いきなりそんなこと聞かれても困るか……)
(ああ、でも、気になる……)
俺は延々と答えの出ない問答を繰り返しながら、眠れない夜を過ごし……
しばらくの間、弟や部下達から、目の下のクマを心配される日々を送ったのだった…-。
おわり。