太陽7話 3日待て

リカさんの作ったチョコレートが食べたい…―。

そう言った私に向けられたのは彼の意外な言葉だった。

リカ「俺、今まで自分で作ったことないけど」

○○「そうなんですか?」

まさかの言葉に口元を抑えれば、彼の眉間に皺が寄る。

リカ「チョコレートの国の王子だからって、作れないとダメなのかよ」

○○「いえ、そういうわけじゃないんですが……」

リカ「……俺が得意なのは材料の目利きとか、テイスティングなの。 けど、クレトとかは自分でも作ってるか。んー……」

リカさんは口元に片手をやりながら腕を組む。

(やっぱり難しいのかな?)

リカ「じゃ、3日待て」

○○「えっ、作ってくれるんですか?」

リカ「お前の欲しいショコラを聞いたのは俺だし。 3日もあればいけんだろ。よし、待ってろ」

鼻を鳴らして彼は自信ありげに微笑んでみせたのだった…―。

翌朝…―。

私が目覚めて身支度を整えていると、窓の外に城を出て行くリカさんを見た。

(また街の方に出かけるのかな?)

ー----

リカ「3日もあればいけんだろ。よし、待ってろ」

ー----

(昨日あんなこと言ってたけど、どんなショコラを作るのかな?)

(気になるけれど……)

待っていろと言われた手前、私は静かに彼の背中を見送ることにした。

それから、夜空に星が輝き始めた頃…―。

リカ「……○○、いるか?」

○○「はい」

リカさんの声が聞こえて部屋の扉を開ければ……

リカ「とっておきの一品を作る準備ができたから、明日は城の厨房でショコラを作るぞ」

○○「リカさん……はい、楽しみにしていますね!」

自信たっぷりに腕を組む様子に、期待が胸のうちに膨らんでいく。

リカ「そんなわくわくして、子どもかよ。 とりあえず、明日を楽しみにして今日はもう寝ろ」

○○「……っ!」

彼の形のいい唇がそっと私の額にキスを落とす。

リカ「おやすみ、○○」

○○「……はい、おやすみなさい」

彼が部屋を去っても私の頬は熱くなったままだった…―。

そして翌日、約束通り私はリカさんに城の厨房へ連れて来られた。

調理台の上にはイチゴ、パイナップル、キウイ、バナナと、新鮮なフルーツが一口大にカットされて、お洒落な食器に盛りつけられている。

○○「これって……」

リカ「……わかったか?」

ペティナイフで次々とフルーツの皮を剥くリカさんの横には、スライスアーモンドの入った小皿やフィナンシェ、バームクーヘンといった焼き菓子も用意されている。

○○「もしかして、リカさんの作るショコラって…―」

私が口を開くと、リカさんは言葉の先を待つように深く頷いたのだった…―。

 

 

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