第1話 飾りつけられた街

チョコレートの国・ショコルーテ 白の月…-。

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リカ『新作のショコラごちそうしてやるから、たまには遊びに来いよ』

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彼に招待された私は、期待に胸を躍らせて久々にショコルーテを訪れた。

けれど彼は城を留守にしているらしく、街へ出れば……

チョコレートショップが連なる大通りは大勢の人々で賑わっていた。

その店の一つに、見知った顔を見つけて思わず駆け寄る。

〇〇「リカさん」

リカ「おい、外ではリカって呼ぶなって……それにしても以外に早かったな」

久々に会った彼は店員と話し込んでおり、その手には一粒のショコラが摘まれていた。

リカ「ちょっと待ってろ、今こいつと話してるから」

リカさんの前にいたショコラティエと思われる男性が頭を下げる。

リカ「――それで、このカカオなんだけど、俺としては…-」

(なんの話だろう?)

真面目な顔で話し込む二人に少しだけ疎外感を覚えて、遠くの空を眺める。

大通りはハートの形をしたオーナメントやバルーンでシックに飾りつけられていた。

(可愛い……バレンタインの時期の街みたいだ)

リカ「おい、なにぼんやりしてる、城に戻るぞ?」

〇〇「え?」

いつの間に話が終わったのか、振り向けばすぐ傍にリカさんの顔があった。

蜂蜜色の甘そうな瞳に見つめられて、心臓が慌て始める……

〇〇「ええと、その……」

彼はおかしそうに鼻を鳴らすと、私の額を指先で弾いた。

リカ「なに慌ててんだか。そんなに俺と会うのが楽しみだった?」

〇〇「……っ」

心を言い当てられたような感覚に何も言えなくなってしまう。

すると彼は私の手を引いて店を出た。

(なんだか握られた手が熱く感じる……)

落ち着かないまま辺りを見れば、大通りに面したチョコレートショップはどこも人々で賑わっていた。

〇〇「そういえば、スイーツフェスタでもあるんですか?」

リカ「……さあ、どうだろうな?」

(……違うのかな?)

意味深な笑みを浮かべるリカさんに私は首を傾げる。

リカ「そんなことよりせっかくだし、いろんな店のショコラ食べてみようぜ?」

〇〇「あっ、待ってください」

手を離して一人歩き始めた彼の背を、私は慌てて追うのだった…-。

 

 

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