アヴァロンの空に、太陽が高く昇る…-。
(陽射しが気持ちいい……)
朝食を終え、部屋の窓から外を眺めていると、扉をノックする音が響いた。
プリトヴェン「○○……俺だけど、ちょっといいかな?」
(プリトヴェンさん?)
扉を内側から開くと、緊張した面持ちのプリトヴェンさんの姿があった。
プリトヴェン「お、おはよう!」
○○「おはようございます」
プリトヴェン「いい天気だな! ……ってそうじゃなくて、えっと……」
○○「……?」
プリトヴェンさんは迷いあぐねるように、視線をさまよわせた。
○○「プリトヴェンさん、どうしたのですか?」
プリトヴェン「ちょっと待って……深呼吸する……」
プリトヴェンさんは自分を落ち着かせるように、深く息を吸い込んだ。
それから決意を固めた表情で、ギュッと拳を握りしめた。
プリトヴェン「○○! よかったら俺に城下町を案内させてくれないかな!?」
(町を……?)
○○「あ……はい、喜んで」
プリトヴェン「……!! そっか、良かった!!」
私を町へ誘うためにこれほど緊張していたとは思ってもいなかったので、驚きながら頷いた。
(そんなに誘いにくい空気出しちゃってたかな……)
胸の中で心配しながら、ほっと息を吐いているプリトヴェンさんと町へ向かった…-。
辿りついたアヴァロンの城下町は、武器を身につけた多くの人々で、とても賑わっていた。
町の男性1「あっ、プリトヴェン様だ!」
人々はプリトヴェンさんの姿を見つけるなり、ワッと歓声をあげた。
町の男性2「相変わらず威厳があって格好いいなぁ……!」
町の男性3「プリトヴェン様は、俺達アヴァロンの民の誇りだからな!」
プリトヴェン「ありがとう。今度、隊の航海訓練を行おうと思う。その時は、是非見に来てくれ」
町の男性3「おお! それは楽しみです!!」
プリトヴェン「ああ、町の皆が来ることで、兵士達も一層気が引き締まるだろう」
町の人達の前で振る舞う彼の姿は、威厳に溢れていて……
町の女性1「凛々しくて見惚れちゃう。それにプリトヴェン様って、とってもお強いんでしょう? 素敵……」
町の女性2「隣にいる女性が羨ましい~!」
女性のあげる黄色い声にも、プリトヴェンさんが動じる様子はない。
(なんだか、私の前にいるときと雰囲気が違う……)
不思議に思っていると、プリトヴェンさんが首を傾げながら訪ねてきた。
プリトヴェン「○○? どうかした?」
○○「プリトヴェンさん、人気者ですね。歓声がすごいです」
プリトヴェン「はは、賑やかしみたいなものだよ」
○○「皆の憧れの的ってことでは…? 今も、素敵だって……」
プリトヴェン「えっ……す、素敵って…!! あ、いや、○○がそう思ったってことじゃないよな…。 くそっ……動じるな俺……!」
彼は独り言のようにつぶやくと、何かを振り払うように、頭を大きく左右に振った。
(やっぱり……でも、こっちの方がなんだか親しみやすいかも)
そんなことを思い、クスリと笑みをこぼす。
プリトヴェン「そ、そろそろお腹減らないか?この街にリゾットが評判の店があるんだけど…。 …昼食にどうかな!」
○○「はい、ぜひ」
私の返事を聞くと、プリトヴェンさんはホッとしたように、大きく息を吐き出した。
ところがその直後…-。
プリトヴェン「!」
城壁の方から、地面を震わせるほどの大きな音が響き渡った。
○○「……!」
よろけた私の体は、プリトヴェンさんの片腕に支えられる。
プリトヴェン「大丈夫? ……驚いたよね」
○○「はい……ありがとうございます」
心配そうに私を見下ろすプリトヴェンさんに向かい、なんとか頷き返した。
○○「一体、何が……?」
プリトヴェン「まさか……」
私の肩を抱くプリトヴェンさんの腕に、力が込められる。
町の男性1「モンスターだ! モンスターが門を突き破ろうとしているぞ……!」
立て続けに何度も地響きが続く中、誰かがそう叫んだ…-。