武器の国・アヴァロン 薫の月…―。
指輪から解き放たれた目映い光の中、揺らぐ人影が少しずつ輪郭を縁取っていく。
やがて光が明滅し、姿を現したのは、精悍な顔立ちをした若い男性だった。
??「うっ……ん?」
一瞬まぶしそうに目を細めた後、ハッとした表情になり、辺りを見回す。
??「……! ここは!?」
大きな盾を構える彼の瞳には、強い警戒の色が浮かんでいた。
○○「あの……大丈夫ですか?」
??「え……?」
後ろから声をかけると、弾かれたように振り返る。
??「……っ!」
私と目があった瞬間、彼の頬が真っ赤に染まった。
○○「あの……?」
??「あっ、えっと……その、大丈夫……」
まだ赤い顔のまま、動揺したような声音で返事をする。
??「と、ところで君は?」
○○「私は…-」
これまでの経緯を話すと、彼は驚きながらも深く頷いた。
??「……そっか。君が俺を助けてくれたんだ。 俺はプリトヴェン。君に、礼を言わないと…-」
感謝と敬愛の混ざったような目で私を見つめながら、彼がつぶやいたとき……
遠い場所から、獣の咆哮のような声が聞こえてきた。
(何……?)
プリトヴェン「……ここは危ない。危険のないところまで送るよ」
彼の誘導で、私は急いで場所を移動した…-。
…
……
彼と共に少し歩くと、野花の咲く丘へと辿りついた。
さっきの荒れ野とは違い、ウサギやリスが走り抜け、鳥の鳴き声も聞こえてくる。
プリトヴェン「ここなら大丈夫……助けてくれて、その、ありがとう。 今度改めて、礼をさせて欲しい。だから……」
彼は一度口ごもった後、意を決するように顔を上げた。
プリトヴェン「ま、また会えるかな……!」
大きな声で、しかも少しせっぱ詰まった顔で尋ねられ、驚きながらも頷く。
○○「はい、近いうちにお尋ねします」
私の返事を聞き、彼が嬉しそうに笑顔を浮かべる。
私達の間に、青い草の匂いがする爽やかで優しい風が、通り抜けていった…-。