月が、寂しげに淡い光を放っている。
お婆さんから話を聞いたその夜……
砕牙「……井戸の水が増えているのは、我と〇〇が近づき過ぎたが故か」
あの言葉が、何度も私の頭を過る。
あの話が本当なら、私はここにいてはいけない気がする。
そう思う度に、砕牙さんと離れ難い気持ちが押し寄せる。
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砕牙『良い。語らずとも、うぬの心は分かってきた』
砕牙『もっと、より深く、我にうぬという人間を教えてくれぬか』
砕牙『……井戸の水が増えているのは、我と〇〇が近づき過ぎたが故か』
砕牙『だが、この早さで水位が上がっていけば、毒水が国中に溢れてしまうだろう』
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(……砕牙さんに、迷惑をかけるわけにはいかない)
手のひらをぎゅっと握りしめて、私は砕牙さんのもとへ向かった…-。