お婆さんから話を聞いたその夜…―。
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砕牙「……井戸の水が増えているのは、我と○○が近づき過ぎたが故か」
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(あの話が本当なら、私はここにいてはいけない気がする)
この国を出ることを伝えようと、私は砕牙さんの元へ訪れていた。
○○「砕牙さん……」
砕牙さんは、城の廊下で静かに月を見上げていた。
砕牙「……どうした」
○○「あの…―」
離れ難い気持ちが募り、上手く言葉を口にすることができない。
すると、砕牙さんが私に歩み寄り、そっと私の頭に手を置いた。
砕牙「そのような顔をするでない。 この国で起こっておることは、うぬのせいなどではないぞ」
(……私の気持ちを、わかってくれてたんだ)
砕牙「だが……うぬに一つ尋ねてもよいか?」
○○「何でしょう?」
一呼吸置いて、砕牙さんが私を見据える。
砕牙「うぬは、長寿を望むか?」
○○「え…―」
夜風が、私達の間を吹き抜けていった…―。