静止しているケーブルカーの車内では、いっそう寒さが身に沁みる…ー。
モーターを点検する乗務員の方は、未だ原因を突き止めることができていないようだった。
エドモント「……ご来光に間に合えばいいな」
◯◯「そうですね……」
(光来山でご来光を見ると、健康でいられるっていう言い伝え……)
(公務で忙しいエドモントさんは、体が資本だし……)
(どうかご来光が見られますよう)
そう願ったけれど…ー。
車内にもう一度アナウンスが流れる。
運転手「点検したところ、やはりモーターが故障しております……。 申し訳ありません。ここで下山をして頂くことになります……」
乗客達の不満の声が、車内に充満する。
乗務員の方々はずっと頭を下げていた。
(残念だけど、仕方ないよね……)
私とエドモントさんは、ケーブルカーを降りる。
(ご来光……見たかったな)
エドモント「そんなに見たかった?」
エドモントさんが私の顔を覗き込んできた。
◯◯「はい……すごく残念だなって思って……」
エドモント「……諦める必要はないかもしれない」
◯◯「えっ……」
エドモントさんの視線は山頂へと向けられている。
エドモント「展望台まではあと少しの距離だ。ここから歩いて行ってみようか?」
(エドモントさんとご来光が見られる……)
◯◯「はい……行ってみたいです!」
エドモント「じゃあ、行こう」
他の乗客達が下山していく中、私とエドモントさんは、山頂を目指して歩き始めた…一。