ご来光まで、あともう少し。
それまでの時間、私はエドモントさんと楽しく話しをして過ごしていた。
エドモント「○○、目をつむって」
不意に話が途切れ、エドモントさんが正面から私を見つめた。
○○「えっ・・・・・・はい・・・・・・」
(何だろう?)
戸惑いながらも、私は言われるままに目をつむる。
エドモント「手を出して」
○○「あっ・・・・・・はい」
掌を差し出すと、そっとそこに何かを乗せられた。
エドモント「目を開けていいよ」
そっと目を開けると・・・-。
(これって・・・・・・)
掌には、丸い形をした桜色のお守りが乗せられていた。
エドモント「さっきの参道で売られていたんだ。これには、加護の力があるらしい」
エドモントさんは、自分の手の中にある青いお守りを私に見せる。
エドモント「これは、俺の。○○と一緒のものを持ってみたいと思って」
(嬉しい・・・・・・)
その気持ちが嬉しくて、ぎゅっと桜色のお守りを握りしめた。
○○「お揃いですね。ありがとうございます、嬉しいです」
掌から、エドモントさんの優しさが伝わってくるような気がした。
その時・・・-。
地平線に一点の光が覗く。
その光は一瞬にして大地を覆い、私達の視界を明るく照らしていった。
○○「わぁ・・・・・・」
美しいご来光を前に、私は思わず言葉を失う。
エドモント「ああ、美しいね」
エドモントさんも目を細めて、その光を見つめていた。
○○「エドモントさん・・・・・・今日は誘って頂き、ありがとうございました。 こんなに綺麗なご来光を見られるなんて、素敵な一年を過ごせそうです」
エドモント「・・・・・・○○」
エドモントさんの真っ直ぐな目が、私を射抜く。
視線をそらすことができず、私もじっと見つめ返した。
彼の手が私の肩に触れ、そっと引き寄せられる。
○○「エドモントさん・・・・・・」
彼は私の頬を両手で包み込む。
触れた場所が甘く痺れ、そこから全身に広がっていく・・・・・・
○○「あ、あの・・・・・・」
続く言葉は彼の唇に奪われ、時が止まったような気がした・・・・・・。
エドモント「俺も・・・・・・○○と一緒にここに来られて嬉しいよ」
ご来光の柔らかな光が、彼の髪を優しく照らす。
エドモント「本当はすごく不安だったんだ。君が俺の誘いに乗ってくれるかどうか。 断られてしまったら、悲しいなって・・・・・・誘うのをずっと躊躇っていたよ」
○○「断るなんて・・・・・・そんな・・・・・・」
エドモントさんの正直な気持ちを知り、私は驚き首を傾げる。
(エドモントさんが、そんなことを思っていたなんて・・・・・・)
うつむいてしまうと、エドモントさんは私の髪に指を絡まらせ、
プレゼントしてくれたバレッタに、そっと触れた。
エドモント「君はすごく魅力的な女性なのに、そのことに気がついていない。 もしも、他の男に誘われていたらどうしようとか、俺を選んでくれるだろうかとか・・・・・・。 ○○を誘うまで、そんなことをずっと考えていたよ。 だから、君から返事を貰えた時は、すごく嬉しかったんだ。飛び上がってしまいそうな程にね」
エドモントさんが照れた笑顔を浮かべる。
こんな表情をする彼を見たのは初めてだった。
○○「エドモントさんに、そんなことを思っていて頂いていたなんて・・・・・・すごく嬉しいです」
嬉しくて胸がいっぱいになり、声が自分でもわかるほどに弾む。
エドモント「○○・・・・・・」
もう一度、エドモントさんの顔が近づいて・・・-。
○○「・・・・・・っ」
私達はもう一度キスをした。
惜しむように唇が離れ、またすぐに引き寄せられる・・・-。
エドモント「○○、今年も一年よろしく」
やがて囁くように彼が言い、私はどうにか頷き返す。
○○「・・・・・・私こそ、よろしくお願いします」
ご来光の柔らかな光に包まれながら、私達は肩を寄せ合う。
この最高の瞬間を感じながら、これから始まる一年に、胸を弾ませた・・・-。
おわり。